ChanpuruPoo

ARGYLLE/アーガイルのChanpuruPooのネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

売れっ子スパイ小説家のエリー(ブライス・ダラス・ハワード)はある日、列車の中で謎の集団に襲われたところをスパイを名乗るエイダン(サム・ロックウェル)に助けられる。なんと小説の内容が現実を言い当てているため、彼女は悪の組織に狙われているのだという。機密情報を先んじて入手するため、エリーはエイダンとともにロンドンに向かうが…。

『キングスマン』シリーズを彷彿とさせるマシュー・ヴォーン監督のスパイコメディ映画だが、同シリーズとの違いもいくつかあり、幾重にも重ねられたどんでん返し展開が見せ場となっている点や、女性が主人公である点、ロマコメ要素が前面に押し出されている点などが挙げられる。ブライス・ダラス・ハワードは、ヒロインからいけ好かない憎まれ役まで幅広く演じることのできる女優だが、本作はその多面的な演技力が存分に活かされている。ふくよかな体型の役作りも、ナイスバディな主人公が活躍する一般的なハリウッド映画とは異なるテイストで魅力的だった。そして相方役であるサム・ロックウェルは出過ぎず引き過ぎずの絶妙な存在感がさすが。マシュー・ヴォーン監督のカラフルなビジュアル&アクションも陽性なノリの中で炸裂しており、見ていて元気が出る作品だ。
ただ、ウェルメイドさよりは所謂「B級」的なバカバカしい楽しさに振り切った作品にも関わらず、作劇的に捻りを重ねすぎた結果、終盤になるまで物語の方向性が掴みにくくて没入感を妨げている印象はあった。例えば、序盤だけ見るとフィクションと現実の関係性やギャップを描く話なのかと思わせられるが、終わってみれば全くそういう話ではなく、終盤ではもはや劇中フィクションも顔負けの荒唐無稽な展開となっており、そういう意味でのチグハグさはあるように思う。
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