ChanpuruPoo

アイアンクローのChanpuruPooのネタバレレビュー・内容・結末

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

元プロレスラーでコーチである父・フリッツ(ホルト・マッキャラニー)の指導の元、父が届かなかった栄光を目指してプロレスの道に進んだフォン・エリック家の4兄弟。しかし、“家族のため”に過酷な努力を重ねる中で彼らは精神的に追い詰められていく…。

次男ケビン(ザック・エフロン)が息子たちと今は亡き自分の兄弟たちを重ねて涙を流しながらも「男は涙を見せるものじゃない」と言ってしまうラストシーンにテーマが集約されていた。度重なる悲劇に直面しても、「より強くあること」でそれを乗り越えようとするフォン・エリック家だが、自分の悲しみや弱さをさらけ出せないことが、結果的にさらなる悲劇を呼び込んでしまう。プロレスラー役など似合わないような繊細な印象の俳優たちが兄弟役にキャスティングされているのが効果的で、常にどこかで無理をしているような痛ましさが漂う。本作はそんな家族をただ単に突き放して描くのではなく、優しさや共感も感じさせるタッチで描く。だからこそ、自分の感情を抑え込み弱さを見せない、という男らしさは本当に「強さ」なのか?という問いかけが切実に響いた。
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