青二歳

利休の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

利休(1989年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

草月流家元を継いだ勅使河原宏…さすがの名物。よく美術館から借りられたよ…茶の湯政道の末路。利休に三國連太郎!かっこいい。秀吉山崎努..お茶々に山口小夜子..美しい!さらに北政所に岸田今日子..白塗り江波杏子とかもうはやホラー。大政所に北林谷栄(衝撃メイク!)と、なんかもうキャスティング素晴らしい。
武将たちのキャスティングも最高にジワジワ来ます。"へうげもの"の山上宗二…井川比佐志の再現率が高いな。
実務屋であり実利主義者利休の姿が描かれていい。野心家利休の姿は控えめな所もこれはこれでアリかなと。それが秀吉のキャラと合うんです、山崎努の漫画的カリカチュアがグロテスク。加えて秀吉の家族会議…北林谷栄「なんでだも?」の可笑しさ。かわいい〜

草月流を継ぐまでの若かりし日の作品に比べると凡庸なカットが多いかと思いきや…かつての"物フェチ"を何処までもこじらせててたまげる。アイテム好きだよねえ。"物"ってstuffとかの物です。とにかく物が好きな人だから名物群への執着がすごい。
中世における茶の湯ってスゴいモダンな文化のエポックメイキングなんですよね。シルクロードの終着点、なんでも受け入れて魔改造してきた日本ですが…平安時代は中華圏から離れ国風文化が華やぎ、中世においてガツーンとトンデモナイ美が新しく内的に作り出されたわけで。侘び寂びという美意識に基づいて多くの陶器が新たに大量生産され、武家以外の庶民(商人ら)に新しい美意識が共有されていった。
そんな美の革命児を勅使河原宏が撮って面白くないわけがない。物への執着に満ちたキチガイ映画です。すてき。
青二歳

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