コブヘイ

キラー・ナマケモノのコブヘイのレビュー・感想・評価

キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)
3.0
ナマケモノが襲ってくるよ~!!馬鹿馬鹿しくも出オチで終わらないアイデア満載の、ホラー要素満載のアニマルパニック!

密猟されたナマケモノをひょんな事から手に入れた主人公エミリー。
大学女子寮の会長となるべくマスコットとして利用して人気急上昇。
それが気に入らないライバルのブリアナはナマケモノを排除しようとするべく部下を動かすが。。。 というタイトルに偽りなきお話。

そんな本作の主人公ナマケモノは五人掛かりで操作する本格マペット仕様。ゆっくりな動きの特性もあって実に愛くるしい。
オープニングでそのナマケモノの生態を見せるのかと思いきや、まさかのキラーナマケモノを匂わす登場シーンに。色々あってエミリーの元に来たこのキラーナマケモノがアルファと名前を付けられて一躍女子寮の人気者になり、寮から放り出された事を恨んで初の殺人シーンへ。
ゆっくりなナマケモノのがどうやって人をスラッシャーするのかと思っていたら何と飲み物に薬を混入して麻痺させた上で爪攻撃!
なるほど!と感心するのもつかのま、次の殺人では明かりの点滅に合わせて瞬間移動のごとく近づくホラー演出で責めてきたと思ったらナマケモノとは思えない活躍ぶりで殺人を披露。
ノロマなナマケモノが如何に工夫して人を殺すのかと思いきや、なめてたナマケモノが実はは万能なんですよキラーとして作られていた!
その活動範囲はエミリーのスマホを器用に使いこなしたり、お酒を飲んだり、車に乗ったりと多岐にわたり、普通ではないアニマルパニックが発生する。

スラッシャー風に始まったアルファの活躍は、新しい会長が決まったクライマックスで大暴走。
ハロウィンやサイコ、シャイニングなどの名作ホラーのオマージュを入れ込みながら次々に人を襲うアルファ。 主人公たちも負けずに反撃。
ジェイソン並みにしぶといアルファ。
ようやくの決着時には超有名異星人映画のパロディが炸裂。ならなんで密猟されたアルファを森に戻すべきだと主人公を諫めたマディソン(本作随一の理性キャラクター)を排除しようとしたのかは永遠の謎。

馬鹿馬鹿しくも決して出オチで終わることなく、SNS時代を皮肉る人物紹介やきちんと動物保護を訴えるラストといった社会性も話に盛り込んであり、マディソンを演じるのが実際のインフルエンサーだったり、死ぬ前の告白が面白過ぎる寮母さんを演じるのがスタンダップコメディアンだとか配役も練られていて、作りは至極真面目。

正直なところ、ナマケモノそのままの生態を期待していたので本作のアグレッシブさは残念ではありましたが、サメ、熊に続く、新時代のアニマルパニックとも言える楽しい作品でした。
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