CINEMAと暮らす

Flip-Up TonicのCINEMAと暮らすのレビュー・感想・評価

Flip-Up Tonic(2023年製作の映画)
2.5
精巧なアンドロイドの実験を描いたSFショートムービー。新型アンドロイド「リーチャー」の実験を描いているが、リーチャーだけでなく、実験に関わる研究員たちも皆、どこか不自然な動きをしているように感じる。

リーチャーなのかどうかを判断する材料として“躓く”というのがひとつのポイントになっている。しかし、これは最も簡単なクイズのように思う。どこまでがクイズなのか疑い出すと、ほんの少し、言葉に詰まる。笑顔がぎこちない。なども気になって来る。これはヒューマンエラーなのか、キャストが緊張しているからなのか、意図的なカメラワークが取り入れられていることを考えると、ギリギリのラインをあえて演出しているようにも思えてくる。

一体誰がアンドロイドなのかを疑うことは、裏を返せば誰が人間なのかを疑うことにもなる。自分は何をもって、他者を人間と判断しているのか、その判断基準に揺さぶりをかけてくる哲学的な問いかけが本作の魅力といえるだろう。