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コンクリート・ユートピアのRRRiのネタバレレビュー・内容・結末

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

韓国映画は生きるか死ぬかの究極の選択が迫られた時にでる人間の本能的な心の動きを表現する作品がたくさん!
ここ最近のゾンビ映画やパニック映画もしかり、こちらもピンチに陥ったときに人ってこうなるんだろうなと妙に納得がいってしまった。

あくまでも、災害ではなく、災害によって残された人間たちの生きるための模様がテーマ。だから災害がなぜ起きたのか、というところはほぼ扱っていない。そのおかげでより人間に焦点がいく。

住民たちが笑顔のシーンは、宗教を扱った映画「ミッドサマー」を見ているよう。
幸せそうなのに不気味にも見える。
ピンチに陥った時に現れる心の救世主のようなものに、人は縋ることでしか自分を保てないのかもしれない。

何が正解で何が間違いなのか、何が正義で何が悪なのか見ていて難しかった。

登場人物のキャラはそれぞれ考え方や性格から違っていて、心情もそれぞれ異なる。
最終的に悪のように扱われるイ・ビョンホンの役も、元を辿るとごく普通の生活を送っていたであろう人間で、ある出来事がきっかけに人生が壊れてしまったのだろう。しかし純粋に火を消そうとする姿やおばあちゃんを殺すことはしないという、よく考えてみると分かる根の優しさ。(殺さないという苦しませ方をさせてるのかもしれないが...そこは観る人次第?)

あのマンションをユートピアのように作り上げたのも、自分たちが生き残っていけたのも彼がいたからだといっても過言ではない。そして彼は何を言われても最後の最後まで守り続けようとした。
悪いこともしているが、彼にとってマンションを守るための正義であったのだと考えると100%の悪者と思えなくなる。

しかし人間は簡単に味方だった人間を敵とみなし、排除しようとする。

背景を知らない者からしたら、彼はただの殺人鬼であり、謎の不審者になる。だからこそ、夫婦の奥さんの気持ちもよく分かるし、考え方も本来全員がこの奥さんの考え方を持てたら、もっと平和な世界になるはずなのに。とも思う。

人間ひとりひとりの考えが全く同じでない限り、争いはなくならないのだろうな。切ない生き物...。

と、人間の本性について、考えてしまうような作品だった。

イ・ビョンホン、最初は本当に韓国の街に普通にいそうなおじさんに見えるのに、自信を持つ過程でどんどんイケメンになり、やはりイ・ビョンホン!!!と思いながらちょっとテンション上がってました。笑

パク・ソジュン、パク・ボヨン夫婦も良かった!パク・ソジュンが辛いシーンに遭遇しながらでもイ・ビョンホンに付く姿は、自分が死にたくないと思っている以上に、妻を守りたい一心で、こんな状況でも守ろうと必死な姿が素敵すぎた。結果それが良かったこととはいえないのがまた難しいのだけれど。あとは、イケメン。

パク・ボヨンの周りがどう言ってようが信念を曲げず、自分のことだけではない考え方はまっすぐで、それでも自分の想いとは正反対の状況になっていくことでやつれていく姿、そこから這いあがろうとする姿がかっこよかった。

こういう映画、どうやって終わらせるんだろ。って思うのだけれど、なるほど、そう来ましたか!という終わりで、個人的にはすっきり終われた。
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