ホンのシネマ

カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~のホンのシネマのレビュー・感想・評価

3.8
角野栄子さんのことは知っていたけど、そこまで詳しくなかったし、NHKで見逃していたので、朝イチの映画館で見ました。

前々からファッションに関しては華やかな印象もあり、娘さんの本「魔法のクローゼット」は読んでいたので、とてもチャーミングなお婆さんという印象でしたが、本当にもう大ファンになってしまいました!

もちろん「魔女の宅急便」はジブリのアニメで何度も見ていましたが、原作本は未読。(絶対に読みたい)

とにかく、90歳近くの角野さんは、iMacで原稿を書き、ド派手なピンクのファッションに身を包み鎌倉の街を散歩する。
さらには、旅行にだって行っちゃう!
「お元気」だけではなく、とにかくチャーミングという言葉が似合う。

「とにかく楽しい方がいいでしょ?」を仰られる通り、料理をしていても、執筆していても、お散歩していても常に笑顔。
今でも美人ですが、若い頃はさぞお綺麗なんだろうと思ったら、若い頃のお写真が出てくる場面もあったんですが、超美人。
若い頃にブラジルに住んでいたこと、34歳で初めて作品を書いたことなど、私は初めて聞くことばかりだったのですが、とても興味深く見ることができました。

とくに印象的だったのは「自分にとっての魔法は“書くこと”で、30代の時に出会ってとにかく続けた。皆さんもこういった魔法がひとつはあると思うので、見つけたら絶対にやめないで」的なことをおっしゃられていたこと。
“魔法”=“喜び”

「見つけられない人もいるかもしれない。でも見つけたら絶対に離さないで」

角野さんが特別だと思っていたけれども、それぞれの中の魔法を見つけることができたら、それはそんなに難しいことじゃないのよ、と言われているようで、とても前向きになれたのでした。

こういった年の重ね方をしたい。
誰もが憧れる素敵な女性。戦争も経験して、戦争が終わってとにかく「自由になれたことが1番嬉しかった」という言葉も重みがあります。

遠い親戚に角野さんを思い出させるような90代のおばあさんがいました。
若い頃は夫の仕事の都合でニューヨークで過ごし、90代になっても1人で旅行をしていました。
運転も好きで真っ赤なポルシェでドライブを楽しんでいたそう。
遠くに住んでいたこともあり、私があったのは実は彼女が亡くなる数年前に一度きり。
それでもその後文通は続き、無くなる直前まで交流は続きました。

今度は自分がそういった存在に慣れたらいいなあと改めて思えました。
なんだか色々考えすぎて、だんだん自由でなくなったような気がしていたんだけど、もっと思ったように生きて行ってもいいんじゃないかなと思える作品でした。
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