Punisher田中

SaltburnのPunisher田中のレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
4.4
オックスフォード大学に無事入学したオリヴァーは、あまり良くないスタートを切っていた。対して興味の無い話をする余り物というだけの関係性なマイケルとうだつの上がらない日々を過ごしていた。
そんなオリヴァーだったが、同学年のフェリックスにあることをきっかけに気に入られたことで生活が一変する...

怪演に次ぐ怪演ッ!!!
間違いなくバリー・コーガンによるエピックムービー!!!
ハッキリ言ってこれまで鑑賞した配信作品で1番面白かったかもしれない。
そんな過言が通用してしまう今作。
気色悪いのに気持ち良すぎる、新たな快楽の扉をすんなり開いてしまう作品で人間の根底にあるドス黒い感情で端から端まで塗り固められた様に真っ黒。
おどろおどろしいという表現の方が適切か。
映画と向き合ってきた年季がまだ短いから、これまでの作品でこの様な怪物に出会っていなかっただけなのかはわからないが間違いなく初体験な作品の部類。

リアルなスクールカーストと単なるカースト上の憧れでは終わらない愛憎...さらにそこから人間の根源的なものに潜っていくひねり「これは...そういうシーン?」と思わせぶりなシーンがラストで180°ひっくり返る。
倫理的にキツいのがまた映画ならではの表現でしっかり作品の意図とはマッチしているので不思議とスッと消化出来た。
全く掴みどころのないバリー・コーガンに魅力的過ぎるジェイコブ・エロルディが最高にマッチしていたし、2人を通して人間の根源的な奥深い欲望を描いていて、持たざる者と万物を持つ者の対比が凄まじい。
その対比を用いたラストの種明かしには人間の全てを利用したかに思うアイディアで唖然とさせられた。
さらに今作は映像のクオリティが異様に高い、フィルムを意識した様なレトロなコントラストと色彩にはうっとりしたし、構図も幾何学的でシーンによっては感覚的なのも全く退屈しない所か見せ場をわかりすぎていた印象。

今作はさながら、映画という媒体を完全に掌握しきった者たちによる犯行でめちゃくちゃ良かった...