シュローダー

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のシュローダーのレビュー・感想・評価

3.0
原作未読で浅野いにお初体験という完全アウェー状態で観たが、全然面白くなかった。SFとしての面白さはアーサーCクラークの一連のファーストコンタクト物や、「第9地区」などの過去のいろんなSF作品のツギハギなので新味は一切ないし、そことセカイ系的に同居する女子高生の日常パートも、キャラクターがセリフで思ってる事を全部説明する上にテンポがクソ悪いので見てられない。幾田りらとあのちゃんの演技は悪くはないが、「幾田りらとあのちゃんが喋ってるんだな」という感じで、この映画の中で相変わらずエンドロールを観るまで出てる事にすら気づかせない種崎敦美のような「上手さ」は一切ない。そもそも、この話に出てくるキャラクターは全員が全員漫画漫画した作為的で非実在性に溢れる「日常会話」しかやらないエキセントリックな人間しか出てこないので、SF設定との味付けの差が全くなく、現代パートはラストになるまで全体にメリハリがないのも痛い。そこからようやく話が面白くなり始めるかなと期待させる過去パートに関しても、この作品全体に散りばめられた藤子F不二雄のモチーフ…「ドラえもん」や「ウルトラスーパーデラックスマン」及びその元ネタのアランムーアの「ミラクルマン」に全く勝てていない展開を見せられるだけで、魅力的と感じられるのはドラえもんのパロディとして劇中に出てくる漫画「イソベやん」くらい。という中々マズイ事態に陥っている。後章は流石にコレよりは面白くなるだろうが、面白くなったとしても別に観る価値があるかと言われれば首を傾げる結果になりそうな気もする。これなら藤子F不二雄の短編などを観た方がよっぽど良い。メタファー的な読み解きも型通りというか、作中で鳳蘭ちゃんが語りそうな程度の読解しか出来ないし、元ネタとなっている作品を知らない人間しか面白がることは難しいのではないかとさえ思えてしまう。ここまで来たので後章も観るが、浅野いにお的な「サブカル」とはハッキリ俺は相入れる事はないなと痛感する作品だった。