シュローダー

アメリカン・フィクションのシュローダーのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
5.0
「アメリカ人…a.k.a"白人" が求める黒人の物語」をのっぴきならない事情からでっち上げてしまう気難しいインテリ作家の受難を描く笑うに笑えないコメディ。消費者と作品の相互関係を描いた物語としてはかなり突っ込んだ所まで到達しているので感触としては「ドント・ルックアップ」とかあの手の映画に近いドン詰まり感さえ漂わせているのも僕のツボにハマったし、メインのお話と並行して描かれるアレクサンダーペイン的な引き笑いに満ちた家族のドラマも、決して根っからの善人ではない主人公や家族たちのやらかしまくりなキャラクターも相まって、作劇に常に推進力があるのが偉い。撮影や編集の良い意味での「平均以上」ぶりも素晴らしく、ラストのとんでもないカマシの掛け方も含め、不遜で意地悪な皮肉を極めたら一周回ってウェルメイドな映画になってしまったような、今年のアカデミー賞関連作の中では今の所1番推せる作品だ