シュローダー

デューン 砂の惑星PART2のシュローダーのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ヴィルヌーヴ作品の中でも、ようやっと「ボーダーライン」に並んで、いやそれ以上のベスト級作品と呼べるものに出会ってしまい、しかもそれがDUNEになるとは自分でもビックリである。前作は鳥白湯から鳥の出汁を抜いかのような映画で、映画としてあまりにも面白みの少ない無味無臭ぶりが辛い映画だった。しかし今回は、逆にその1作目でかったるい設定やキャラクターの説明をあらかたこなしているので、冒頭からヴィルヌーヴの独創的なビジュアルセンスが爆発するキメッキメの画作りと前作ではお茶を濁す程度にしかなかったアクション描写がクライマックスまで一切気を抜くことなく続くことになる。20分に1回は爆発が起き、クソカッコ良いSFメカ相手に次々とゲリラ戦を繰り広げる様はまさしく「今度は戦争だ!」と言わざるを得ない。惑星アラキスの砂漠地帯の雄大さと美しさも、ハルコンネン家の惑星のモノトーンな色調の惑星を経ることによってより鮮やかなものに映る対比も見事だったし、随所に配置された超ロングショットの抜群のカッコ良さも堪らないものがある。ヴィルヌーヴは引き算で映画を作る監督ではあるが、PART1でやりすぎた反省が生きている。物語の方も、正直に原作そのまんまをやるのではなく、ポールが最初は否定していた英雄神話にのめり込んでいくしかなくなってしまう様をチャニの視点から相対化することによって、核ミサイルを躊躇なくぶっ放したりするポールの行動にある程度の飲み込みづらさを与えているし、ラストのラストでのチャニの選択の重たさと切なさが際立つようになっていて、ちゃんと現代的なチューニングがされていると同時に、ドゥニヴィルヌーヴ作品で度々出てくる「肉体関係を持った相手とは必ずうまくいかない」「自分はこの物語の主人公ではないと悟ってしまう人の切なさ」というモチーフを感じられた。そしてキャラクターに感じて忘れずに言及せねばならないのは、やはりフェイドラウザ。オースティンバトラーの強烈な演技のお陰で今作から登場したのにも関わらず敵役として充分の迫力とド畜生ぶりがあって大変良かった。他にも、登場した瞬間にこの世ならざる美しさを発揮するレアセドゥや、ジョシュブローリンとハビエルバルデムが同じフレームに収まる瞬間の感慨など、魅力は盛り沢山だが、言葉よりも映像が雄弁な作品なので、感想はここまでとする。