前宣伝で「半地下の方がまだマシ」と明らかに「パラサイト」を意識した宣伝がなされていたのでちょっと嫌だなと思っていたのだが、その割にはイマイチぬるい感じ。悲惨といえば悲惨なんだが、それが社会構造を考えさせるほうにいかずに単なる見せ物としての悪趣味オンパレードになってるような。主人公は少年院に入っている息子と暮らすためにビニールハウスに住んで介護の仕事をしているが、ビニールハウスつっても追い立てを食ってるわけではないし、流し台など最低限の設備はあって、床に寝袋とかじゃない。介護先の家の主人は全盲、妻は認知症なんだが、この妻の方が主人公に暴言を吐く。主人公自身の母親も認知症で施設に入っている。もうこの辺でお腹いっぱいなんだけど、そこに自助グループで出会った若い女も絡んできてなんかもうやりすぎ。とにかく話を悲惨な方へ悲惨な方へ持っていこうとするんだよね。誰も救われないというオチなんだけど、やりすぎていてリアリティに欠けるし、障害などの描き方がかなりいい加減で世間のイメージなぞって増幅させてるだけな気もする。この主人公の性格もなー。自分の親からも息子からも疎まれてるの、多分自分の都合しか考えてないからなんだろうな。微妙に押し付けがましいし、親切もかなり気まぐれで結果に責任をとらない感じ。息子と暮らしたい一心でおかしくなってるんだとは思うけど、だからといってああいう結末はどうなんだろう。鑑賞後、最後びっくりしたねーと言ってケラケラ笑ってる人たちがいたが、そんな感じで悲惨さを見せ物にしてるんだよな。
