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不意打ちのsayaのレビュー・感想・評価

不意打ち(1964年製作の映画)
4.0
断線して途中で止まった家庭用エレベーターに閉じ込められてしまった未亡人が、非常ベルで外部に助けを求めたせいで通りがかった浮浪者に見つかって、家の中を荒らされてしまう物語です。
クラシックサスペンスは展開のゆっくりした作品も多いのですが、今作はオープニングの演出から既に緊迫感が漂い、開始11分で早くもエレベーターが止まるので話のテンポが非常に素晴らしかったです。
裕福な暮らしをしているヒロインは独身の息子と二人暮らしなのですが、親子の関係性がかなり気持ち悪くて、夏の暑苦しさと相まって吐き気がしそうになりますよ。
エレベーターでずっと宙づり状態にされたまま物語は進むので、ヒロインが日頃から見下している下賤な人間たちを見下ろす構図になっているのが上手いですね。
ヒロインだけ内面描写も一応あるのですが、どの登場人物も均等に描かれているので、誰かに感情移入するのではなく人間観察を楽しむ作品です。
とりあえずエレベーター内で失禁する展開にならなかったのは不幸中の幸いでした。
後の『ファニーゲーム』にも通じる後味の悪いこの作品を、もしも日本でリメイクするなら"壁にはまって出れないAV"みたいな展開も入れてみてほしいですね!
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