Taul

アメリカン・フィクションのTaulのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.0
『アメリカン・フィクション』実に良く出来た脚本。経済的に困った黒人の作家が、開き直って書いたステレオタイプな黒人像のギャング小説が大人気に。そのドタバタでポリコレや多様性、意識高い系を茶化しながらハリウッドまで触手を伸ばし、メタにつぐメタでこちらを揺さぶってくる面白さ。

『アメリカン・フィクション』その嫌味を緩和するような静か目の家族のドラマだが、ミドルエイジクライシスや介護、兄弟の確執など個人的に身につまされる内容だし、物語内ではスッキリしない凡庸なリアルさ。どんなものでも創作物は現実社会の写し鏡であり、かつ現実には及ばないものだという感触が残った。

『アメリカン・フィクション』アメリカのエンタメは、メタを用いた自己批評が行き着くとこまで行ってて、それは表現の豊かさでもあるが、もはや笑いも悲しみも一筋縄でいかない窮屈さもあるのでは、と改めて思った。

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『アメリカン・フィクション』そう、作家の家族や恋愛の話は、白人のドラマではよくあるものなのに、小説側の騒ぎもあって、よく見てきた黒人特有の話やテイストを探している自分に気付くという鋭い構成だ。感想や批評もグルグル回る映画という感じがする。
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