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アメリカン・フィクションのenidのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

“ピンチの訪れ→ライバルに嫉妬→お金の為に魔が刺して嘘を吐く→恋人や家族との触れ合い→真実を伝える?”

この定石プロットに「黒人らしさ」のテーマを描いた優等生な作品だな〜と思って観ていたが、ラスト10分「ここまでが思惑(ニヤリ)」と言わんばかりの皮肉の上乗せにぶったまげた。

これは「黒人を尊重」した白人社会のトゥルーマン・ショーだ。
前半100分は「白人の罪悪感を払拭」するための多様性かつ良き黒人家族というフリで、
後半10分は「白人が考えた黒人映画」のヒロイックなバッドエンドに終わった。
やっぱ暴力だよね〜!と言わんばかりの。

今思えば医者の姉が意味不明の突然死したり、ゲイの医者で薬物中毒とか、やけに盛られた多様な設定もあの白人監督の作品かと思うと笑える。パシリに使われたアジア人が効いてたなぁ。

多様性、視聴者、制作指揮…
結局全ては白人に向けられ、白人が権利を握っている。
現代の「搾取」を描いた新しいコメディ。

こんな斬新かつ精巧なプロット、面白いに決まってる。
そしてこの作品がアメリカで評価されてこそ完成系だし、製作陣のしたり顔が浮かぶ。

ぶっちぎりですごかった。
今日から悶々してしまう。
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