saco

異人たちのsacoのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.4
去年かその前に映画サークルの飲み会だったかで大林監督の『異人たちとの夏』が話題に上って、その時動画配信で見ていました。
風間杜夫に、秋吉久美子、片岡鶴太郎で強く印象に残っています。
なのでこの映画を見た時、どこか既視感のある作品で、身近に感じました。
アダムの苦悩として、ゲイであること、両親を幼くして失ったこと、学生時代のいじめ、が凝縮されていて、たとえようのないほどの孤独と寂寥感、最後まで希望の星が見えない作品だなと思いました。
流れる音楽がそれぞれ良くて心にしみます。
父が「部屋に入っていかずすまない」と言った時「言わないで、昔のことだ」と言って顔を覆い泣くところは、アダムのそれまで抑えていた思いが溢れる気持ちがすごく伝わって涙が出ました。

シャーロックのモリアーティ役でしか知らなかったアンドリュー・スコットですが個性的なだけで無く深層心理を表情でも表現できて上手い俳優だなぁと思いました。
希望のかけらもなく物語が終わるので、なんだか辛い気持ちになります。
けれど、とても心に刺さる作品でした。

山田太一の原作はどんな終わり方なのかなぁ。
saco

saco