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オッペンハイマーのsacoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
3時間の長尺にもかかわらず、冗長に感じる部分が一ヶ所もなく、緊張しながら最後まで鑑賞しました。
冒頭から1時間半くらいまでは物語の中に入り込むよりも台詞で飛び交う物理学や量子力学の難しい単語を字幕で追うだけで精一杯で、集中力が3時間も待つか心配でしたが杞憂でした。
時間軸の構成が、政治家ストローズ(ロバート・ダウニーJR)の公聴会とオッペンハイマー(キリアン・マーフィ)の聴聞会、そして今と同時進行で撮ってあるので注意深く観ないと分からなくなりそうで緊張しました。
公聴会をモノクロで撮り臨場感を持たせたのは良かったと思います。

クライマックスの原子爆弾実験のシーンがいちばん迫力があり、とても恐ろしかったです。着火の時を刻むBGMと効果音と細かく変わる画面、耳を塞いで観てました、その瞬間に無音になるところとか、とても効果的で。
日本に原爆を投下した後から、我に返ったように罪悪感に苦悩するオッペンハイマーの心理描写も手に取るように描いてあって良かったです。
知ってる俳優がたくさん名前を連ねていたけど、マッシュ・モディーンやケネス・プランナー、ジョシュ・ハートネットがどの人だったか分からない内に終わりました。
アインシュタインの「自らの業績に向き合った時、供される時が来る」と言う意味が3時間のドラマの中で分かりやすく描いてあって面白くて見応えがありました。もう一度じっくり見返すと更にいろんな思いが沸く気がします。
原爆投下後のフィルムを映し出さなかったのは賛否両論ありますが、私はあれが良かったと思います。
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