うかりシネマ

エイリアン3のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

エイリアン3(1992年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

前作ラストで生き残った者はリプリー以外死亡し、リプリーは刑務所だけがある極寒の流刑惑星に不時着する。

25人の囚人と看守らは全員シラミ対策で丸坊主であり、リプリーも頭を剃る。そのせいで何人かはキャラ付けする台詞があるものの、見分けがつきにくい。刑務所ということもあって理性的でリプリーに協力的な二人を除けば粗暴な者ばかりなので、拍車をかける。
リプリーを排斥する/しない、エイリアンの存在を信じる/信じない、討伐のために奮起する/しないというのもドラマがあるわけではなく、尺の都合で動いているようにしか見えない。

刑務所なので武器がなく、そのためクライマックスは鬼ごっこ。「ゴールに着く」か「その前にエイリアンに襲われる」の二択を繰り返すだけなので緊張感の欠片もない。そもそも過去作と異なり人物描写がないので思い入れが湧かないし、囚人なので死んでも困らない。
『1』のようなホラー路線に回帰したのはいいが、それにしては舞台が広すぎるし、唯一の対抗策が確殺すぎて時間が来るまで倒せない(そしてその時間まではある程度の人間が生き残る)ことが分かりきっているのでホラー的な面白さはない。

宗教によって団結する囚人と異分子で唯一の女であるリプリーによるテンプテーションの大罪は『セブン』っぽさがあるが、それ以外に特にキリスト教や七つの大罪の見立てはなく、“っぽい”だけ。
ただ、面白くない、観なくていいというだけで、別につまらなくはない。最低限の映像にはなっている。
何一つ機能しない設定群は無数のボツ脚本によるものだし(ハリウッドでは脚本家の権利のために全脚本から一部を採用する必要があるとか)、武器を使わないのはシガニー・ウィーバーの要望らしく、歪な箇所やつまらない部分には理由があるのだな、と……。
ケツを拭かされた腹いせにニュートらを殺したのだとしたら悲しいが、むべなるかな。