黄推しバナナ

×ゲーム2の黄推しバナナのレビュー・感想・評価

×ゲーム2(2011年製作の映画)
3.5
監督 :
山田雅史
脚本 :
赤松義正
原作 :
山田悠介
出演者 :
多田愛佳
平嶋夏海
ユキリョウイチ
朝加真由美

前作(Xゲーム1)=①
今作(Xゲーム2)=②

どちらとも同じ話の構成なのが、

❶事件の発端となる出来事
❷Xゲーム会場でゲームを無理やり受ける
❸衝撃の真実が待っている
❹Xゲーム組織の全貌が描かれている

だが①②との違いは、

【①の構成】
事件の発端(0分〜)

Xゲーム会場(35分〜)

衝撃の真実(85分〜)

Xゲーム組織の全貌(95分〜)


【②の構成】
Xゲーム側の主人公登場(0分〜)

Xゲーム会場(3分〜)

謎解きパート側の主人公登場(7分〜)

Xゲーム会場(10分〜)

謎解き情報収集(27分〜)

Xゲーム会場(29分〜)

謎解き情報収集(39分〜)

Xゲーム会場(41分〜)

謎解き情報収集(55分〜)

Xゲーム会場(63分〜)

謎解き情報収集(67分〜)

Xゲーム会場(72分〜)

謎解きパート側の主人公Xゲーム会場へ(80分〜)

事件の発端(85分〜)

Xゲーム会場(88分〜)

衝撃の真実+Xゲーム組織の全貌(93分〜)

構成を見てもらうと分かるのだが、
①は小学生時の担任の死による事件の発端があり、Xゲームというデスゲームに巻き込まれるが、それはかつてクラスで虐めていた女子生徒の復讐だった事が冒頭で分かる展開に、中盤から後半に掛けて主人公を含めて4人のプレイヤーが痛々しいXゲームを受ける…そしてラストに虐めていた女子生徒の正体と警察を含め大きな組織がXゲームというシステムを作ったことを知ることになる構成となる。Xゲームのシステムを運営する警察を含め大きな組織は視覚(映像)として反映されており“妄想を掻き立てる余白”がない…

②は冒頭から佐伯美鈴(多田愛佳)が母親から離れて暮らしているところから始まり、謎という余白を抱えながらの鑑賞することになる。一方場面が変わり週刊誌編集マン・尾藤正彦(ユキリョウイチ)が世間の噂になっているXゲームの真相を調べるため情報収集を始めるといった“佐伯美鈴”パート、“尾藤正彦”パートの2つの構成で少しずつ衝撃の真実+Xゲーム組織の全貌が明らかになっていく。Xゲームのシステムを運営する警察や警察の上層部、週刊誌編集長を含め大きな組織は視覚(映像)として反映されておらず片言の台詞と映像とBGMで鑑賞者側に“妄想を掻き立てる”ように作られている…

①②で明らかに違う点が演出方法

①福田陽平監督の演出は、

作品全体がおフザケ感が満載!
POPなノリのXゲーム!
痛さもPOPで和らぐ!

映画では、
バトル・ロワイアル(2000年)
監督 : 深作 欣二

神さまの言うとおり(2014年)
監督 : 三池崇史

TVドラマでは、
イカゲーム(2021年)
監督 : ファン・ドンヒョク

トモダチゲーム(2022年)
監督 : 永江二朗

などなど…

こんな作品にしたかったんでしょうね…


  真後ろ
   ↓
左→ 人 ←右
   ↑
  真正面

単純なカメラーワーク
単純なカット割とカットの繋ぎ
躍動感がない演出

ラストいじめられっ子にあれだけ理由を喋らしたら…何だろう世界観がチープになる…
大勢の麻袋被ったいじめられっ子たちのコミュニティー達を見せたら逆に世界観が小さくチープになる…
“これで(トラウマから)開放される”ってセリフで言わさたら駄目だよ…何故なら、回りくどいデスゲームやらせてないでいじめられっ子本人がいじめっ子達を少しづつ死なない程度に長期にわたって拷問したほうが、まだトラウマから開放されるし、コレだけ大掛かりなこと出来るコミュニティーなんだから簡単でしょう…ってなりません!←セリフで言わした為に少なからずも私はこう思いましたよ…
大学の先生も刑事も映像で見せるとこは少し見せて、作品で見せない裏設定は感じてもらうそういう含みがないと…Xゲーム運営の組織を映像で知ってもらう方法を選んだために、こじんまりとしたコミュニティーに見えましたよ…

躍動感がない問題が福田陽平監督にはあって画がノッペリとしている…
ノッペリと言われても分かりにくいですよね…①②の両方に共通する画では、書道の時間に生徒が書いた半紙(題材①夢②希望)、小学校の教室だが、

【書道の時間に生徒が書いた半紙】
①演出でない時出演者が動いたとき微かに半紙が靡くがコレは意図としてやってないのでカウントしません…
②生き残りが教室から猛ダッシュで走って出口に急ぐとき山田雅史監督の演出で半紙が激しく靡く…コレはキャラの心情を表しているものと推測する。
キャラの心情が大きく揺らぐとき風が吹く、アニメ監督の宮崎駿も良く使う演出方法で台詞で表さず画で表現する。

【小学校の教室】
①半紙の時と同じく教室内に風で靡く物が無く画が一定の均一を保ち飽きる…
②教室内に天井に古びて破れたビニールが釣り下げてある。こちらはキャラの心情というよりもアイキャッチ(画に集中させる効果)と思われる。
女性のアイドルの衣装に靡くもの(スカート)、男性アイドル、特にジャニーズの衣装の腕、腰に靡くものが多いのはコノ理由のため。初期の仮面ライダーにはマフラー。アメコミヒーローのマントも同じ理由。


②山田雅史監督の演出は、
ダークなモノトーンのライティング!
第三者の目線を意識したカメラワーク!
説明台詞は少なく画で表現する手法!
POPなノリのXゲームとダークな画とBGMとの対比!
痛さも倍増!

映画では、
ソウ シリーズ(2004年〜2010年)
監督 : ダーレン・リン・バウズマンに近い

ホステル シリーズ(2005年〜2011年)
監督 : イーライ・ロスに近い

などなど…

こんな作品にしたかったんでしょうね…

  真後ろ   ↖
   ↓
左→ 人 ←右  ↑ 回転
   ↑
  真正面   ↗

→→→→→→→→スライド

キャラの開かれている状況で適切かつ多彩なカメラーワーク
絶妙な間のとり方が上手いカット割とカットの繋ぎ
躍動感のある演出
妄想を掻き立てる余白がある演出方法

舞台から小物に至るまでの神経が行き届いた配慮が出来ていて抜かりがない!
✕ゲーム進行の鉄面を被った奴らの服装の汚し感から✕ゲーム失敗時の拷問室、教室内の雰囲気も汚しが入っているし陽射しが足り無いライティング感も良き!
また大人の声を加工したゲームのナレーションも✕ゲームの雰囲気を出している!

だが原作のまま映画に投影した訳で無く、原作の根幹部分を元にブラッシュアップしてリブートとして作られたのが今作で、この世界観のほうがXゲームの罪の重さに対する罰の痛さが倍増して良いと思うのだが…物語の複雑に絡み合う構成と演出からして結構玄人向けに作られた作品だと言うことが分かる…

原作に近い前作のXゲームの方が高評価なレビューが多い…説明台詞が分かりやすく構成も単調で観やすいしXゲーム運営組織も表現されていて良いとか…他の方のレビューでちょくちょく書かれていますがそれって…

素人相手ばかり対象にした作品てことですよ…“こんぐらいの感じで満足するでしょう”て観ている人を軽視していますよ…作品観る側も“こんぐらいの感じで満足するでしょう”と小馬鹿にされているのを気付きましょうよ…


“岡田斗司夫”の言葉を借りると、

「つまらない邦画が量産されるのは理解力の低い観客に合わせて作られているから」

そのとおりですよ…

①鑑賞年齢30代
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正なし
④記憶明確
黄推しバナナ

黄推しバナナ