とみやま

白鳥のとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

白鳥(2023年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ウェス・アンダーソン作品は、時折「どうも!ウェス・アンダーソンです!」と大声で自己紹介してくるようなものがある。「あー、知ってます。はい」と言って目を逸らしても「ウェス・アンダーソンです!!」と目を合わせるように挨拶されるので、もうちょっと物語を楽しみたいんだけどなー、という気持ちにさせてくれる、あの感じ。もしかすると今回の短編集では、今作が一番それに当てはまるのかもしれない。

勧善懲悪をすり抜けた、善のない乾いた温度が物語に潜んでいる。もちろん後味のいいものではない。
なのに、映像上では、時折、ウェス・アンダーソンが「やあみんな!」みたいな感じで手を上げてくる。ポップな洒落た温度が妙に合っていない気がする。が、奥底に眠る負の温度ははっきり感じられた。感じられたけど、これが最適解ではない気がする。なんだか釈然としない。マーティン・マクドナーなどが作ったら、また違う顔を見せてくれそうな映画。
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