マヒロ

白鳥のマヒロのレビュー・感想・評価

白鳥(2023年製作の映画)
2.5
大柄ないじめっ子に酷い目に遭わされる少年の体験を、大人になった少年(ルパート・フレンド)自身が回想していく……というお話。

ウェス・アンダーソン監督×ロアルド・ダール原作の短編の2作目。全4作あるが、
・本の地の文を読むようにカメラに向かって登場人物が語り続ける
・その他の登場人物は演技らしい演技をあまりせず、ほとんどそこにいるだけ
というセオリーは他の作品と同じ。
今作は少年役の子と語り部のルパート・フレンドの二人がほぼ出ずっぱりで、主要人物であるいじめっ子の二人すら現れないという徹底した省略っぷりで、ミニマルな短編連作の中でも一番要素が絞られた作品になっていた。

いじめがテーマの作品ということで、いつものウェス節な素っ気ない描き方をしつつもなかなかヘビーな内容だったりして、直接的な描写はないが、いじめのラインを超えた恐ろしいことをされており、なかなか肝を冷やされる。ロアルド・ダールって『チャーリーとチョコレート工場』のイメージが強いからこういうシリアスな作品もあるんだなというのが意外だった。

たった二人の登場人物で物語を転がしていくという手法はなかなか興味深いんだけど、あまりにも画面がシンプル過ぎてちょっとノリきれなかったし、裏方の人を平気で映したりするその素っ気なさが逆にあざとくも感じた。『ヘンリーシュガー〜』でも書いたが、映画の内容を全部喋りまくるというのとうるさく聞こえてしまうし、この方向性の監督作品はイマイチかも……。

(2023.137)
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