マヒロ

ウルヴァリン:X-MEN ZEROのマヒロのレビュー・感想・評価

ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年製作の映画)
3.5
(2024.36)
驚異的な再生能力と手の甲から爪を生やす能力を持つミュータントのジミー(ヒュー・ジャックマン)は、同じような能力を持つ兄のビクター(リーヴ・シュライバー)と共に1世紀以上の長い時間を生き延びていた。しかし、徐々に凶暴な性格が顕になるビクターと相容れないジミーは、ある出来事をきっかけに決別し隠居生活を始めるが、そこにもビクターの魔の手が迫り……というお話。

『X-MEN』初期三部作の前日譚で、ウルヴァリン三部作の第1作でもある。少しずつ匂わされていたウルヴァリン=ローガンの過去を掘り下げるような内容で、因縁の相手である『2』のストライカー大佐との出会いなども描かれている。過去編ということであまり正史に影響を出さないようにしているからなのか、とにかく後腐れのないようにローガンと知り合う人が皆死にまくるのが特徴で、劇中でも言及されるが疫病神みたいになっており、最早笑えてくるほど悲惨な目に遭い続ける。ほぼ知らない人が死んでいくのでそこまでシリアスな空気にはならないが、農場の場面なんかは流石にビックリさせられる。

ややとっ散らかった印象のあった初期三部作と違い、ウルヴァリンの物語という一本軸がしっかりあるのでだいぶ見やすくなっていた。アクションシーンも大技ドカンという感じではなく肉弾戦メインでなかなか見応えあるし、リーヴ・シュライバーの荒々しい獣っぽさもヒュー・ジャックマンに負けず劣らず魅力的で、総合的にはそれなりに満足。ただ、『デッドプール』が成功した今となっては笑い話だが、今作でのデッドプールの扱いはやっぱり勿体なくはある。様々なミュータントの能力を付与されたキメラのような設定は面白そうなんだけど、そこまでそれが活かされることなく割とあっさりやられてしまうのが残念。ここまで大胆な設定ならもっと強大な敵として存在感をもっていて欲しかったところ。

次が『ファースト・ジェネレーション』なので、初期からの流れはここで一旦お終い。一応再見だったがどれも結構新鮮に見ることが出来て、逆に言うとそれほど印象に残ってなかったんだろうな。つまらないとまではいかないんだけど、一昔前のアメコミ映画ってこんな感じだったよなと何となく懐かしい気持ちになった。
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