柏エシディシ

白鳥の柏エシディシのレビュー・感想・評価

白鳥(2023年製作の映画)
3.0
ウェス・アンダーソンの次の一手は、ロアルド・ダール原作の短編連作。
ダール作品の映像化となると「チャーリーとチョコレート工場」や「マチルダ」の様な陽性なトーンの印象があるが、そちらにもうっすらと塗されていた人間のなんとも言えない滑稽さや、時にその不気味さがより前に出てきて、それがまたウェス・アンダーソンの独特の可笑しさと良い塩梅で面白い。
朗読と舞台的な仕掛けを映画的に見せる仕掛けやアイデアを、短編というフォーマットを活かして存分に使っていて4作品とも、面白かった。
まずは本作「白鳥」だが、前述のダール代表作に近い"子供の世界"的視点ではあるが、回想の形式を取る事によって、独特のサスペンスと、語り手の悔恨と痛みが滲み、短編ながら深い。
アンダーソン組では比較的新顔で未だ印象の薄いルパート・フレンドだが、語りが巧みで、ダールのユーモラスで特徴的な文体の魅力を表現していて、感心した。今後はもっと彼に注目します。
15分ほどの3編の中では本作が1番好きだ。
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