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ゴールド・ボーイのfujisanのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
3.8
ある意味、これも『落下の解剖学』。

前評判が高かった映画ですが、確かにとても面白い作品でした!
本作はストーリーに関する前情報は一切入れずに観たほうが良い作品なので、以下、ストーリーについては一切触れずにレビューしたいと思います。


■ 原作との関係
中国で出版され、ドラマも記録的な再生数を記録したと言われる小説『坏小孩』(日本では『悪童たち』としてハヤカワ文庫から出版)を、平成ガメラ三部作の金子修介監督が映画化。

今後中国を含めアジア、世界で上映が予定されているそうです。

原作の脚本化は「正欲」など、原作の映画化に定評のある港岳彦氏が担当。原作の舞台、中国と文化的にも接点がある場所として舞台を沖縄に設定したことで、原作の雰囲気を損なわない作品になっているようです。

とはいえ、インタビューからは、”中国だからこそ成立する設定”をいかに日本で現実味ある設定にするかにかなり苦労したそう。また、原作はかなり”えぐい”描写が多かったようで、レーティング対策も苦労したのではないでしょうか。

ちなみに、ドラマ化された作品はアマプラで無料視聴可能です。
Amazon.co.jp: バッド・キッズ 隠秘之罪(字幕版)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09P9QJQ8H/ref=atv_dp_share_cu_r


■ ネタバレ無しの感想
俳優の演技も素晴らしかったですが、とにかくストーリーが面白かったです。

『あ、次はこうなるんだろうな』っていう予想や”あるある”をことごとく裏切る展開で、この先どこに転がっていくんだこの映画、って思える展開。ドラマや映画を多く観ている人ほど予想を裏切られて面白いかも。

とはいえ、開始直後からのセリフや仕草を丁寧に追っていくと解る展開にもなっていて、このあたりのバランスが絶妙で素晴らしかったです。


■ 俳優
江口洋介さんや黒木華さん、北村一輝さんなど、ベテラン勢の安定感もありつつ、やはり今作は岡田将生さんと少年たち三人の映画。

岡田将生さんはイケメンながら感情が見えにくい雰囲気があり、稲垣吾郎さんのようなサイコパス味がある役柄がマッチしており、いい意味で気持ち悪くて不気味で素晴らしかったです。

対する少年たち三人もそれぞれ活躍している方のようですが、厳しいオーディションを勝ち抜いたメンバーなんだとか。
https://gold-boy.com/#cast

前出燿志さんのどこか若い頃のキムタクを感じさせる人懐っこい笑い顔や、FOLDER5から女優に転身した頃の満島ひかりさんを思わせるような星乃あんなさんの透明感、そして、岡田将生さんと対峙する少年を演じた羽村仁成さん。

羽村さんも良かったですが、印象に残ったのは、星乃あんなさん。序盤からの心の移り変わりや終盤で見せる大胆さ、そして、印象に残ったのは手の演技。映画館の大スクリーンで見ればこそ解る細かい手の演技は注目です。
(あと、羽村さんはシネマンションの斎藤さんに似てると思った)


■ さいごに
本作の舞台は全て沖縄。約一ヶ月間のロケで撮影したそうです。カヌチャベイリゾートや読谷村、アメリカンビレッジなどが登場して、また沖縄に行きたくなる映画でもありました。

本作には、貧困や格差の問題、虐待の問題など、様々な社会問題の要素も含まれていましたが、エンタメに思い切って振り切った映画でもあり、脳が元気なときに集中して観るとめちゃくちゃ面白い映画だと思います。

あと、エンドロール後も情報があるので最後まで観て!

っていうのと、あと、『日本アカデミー賞、「怪物」が強かったなー』 ということで、以上です。
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