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田園詩のkyokoのレビュー・感想・評価

田園詩(1976年製作の映画)
3.8
何度反芻しても名前が覚えられないイオセリアーニ初鑑賞。

練習合宿をしに農家へとやってきたトビリシの四重奏団。農村の日常に彼らの非日常がつかの間クロスする。演奏練習が始まったとたん、ワラワラと湧き出してきた子どもたち、カメラガン見の山羊、馬が走ったら吠えて追いかけたくなっちゃう犬、隣人とのしょうもないケンカ。こういうの大好き。
小豚はなにげに丸焼きになってたりして切なくなるけれど、これが営みというもの。

列車の車窓から覗く人々とコルホーズトラックに乗る人々が見つめ合うシーンが印象的だった。あのオペラはどこから聞こえてきてたんだろう。

音楽と酒で満たした夜、カードゲームや正解できそうにないジェスチャーゲームで過ごした夜はやがて終わる。
部屋の残骸を見やる農家の娘(イオセリアーニの娘だそうで)が降りていく階段の下には変わらない風景が広がっている。
道中たぶん誰も食べなかったお土産のリンゴはチェロ娘ではなくその父親がかじる。

所詮違う世界に生きる者同士なのだと、お互いに突き放しているようにも見えた。


わんこそば屋並の手さばきでウォッカを振る舞う男たち(グルジアはやはりアルハラ傾向がある)が繰り広げていた「ワリカンだって言ってたのにおごりやがって!」という男気バトルが好き。
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