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ショコラのTenKasSのレビュー・感想・評価

ショコラ(1988年製作の映画)
5.0
デビュー作というには名のある監督たちの助監督としてのキャリアがあり過ぎるので、もうぶっちぎりで凄い。満を持して半自伝的映画を監督した感じがすると思ったら実際そうらしい。
「地平線は空と地面が交わるところ」とフランスに説明があったあとに「実際には存在しない」と発せられるのがよかった。白人は飛行機に乗って空からやってきて(このシーンの画面外のプロペラ音から始まる何やら良からぬ事が起きてるとわかる感じは凄い)元々地面にいた黒人を見下しこき使う。交わりそうで絶対に交わらない関係性は使用人プロテとエメの間に起こる欲求やプロテとフランスの間にある特別な仲にも言える。闇に消え去るプロテが悲しい。この映画の闇は本当に暗い。
地平線を想起させるように多用されるパンが美しいカメルーンの風景を捉えていて、めちゃくちゃ気持ちよさそうな風がずっと吹いている。ラストに大雨が降る。
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