濱口竜介×石橋英子による観客を巻き込んだダイナミックな実験。
しっかりとドラマのある"映画"に、劇伴ではない"演奏"を直接ぶつけるという、そのときその場所でしか味わえない贅沢で特殊な体験だった。
「ドライブ・マイ・カー」で見せたなんでもないけれど強烈に印象に残る映像は遠慮なく発揮され、音楽も映像に忖度なく演者のインスピレーションのままに豪快に奏でられる。
鑑賞する側の脳への負荷は凄まじく、強烈な二者が火花を散らしながらギリギリのインプロビゼーションとして調和していく74分は非常に刺激的で楽しかった。
映画の内容がおもしろくなりすぎると音楽への認知が届かなくなるのが興味深い現象。
終演後にふたりのトークも聞けて満足。
「悪は存在しない」も俄然楽しみになっている。