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ミークス・カットオフのkekqのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
3.7
奇妙なタイトルとケリー・ライカート監督の評判に惹かれて鑑賞。

移民の3家族が雇った道案内ミークのせいで枯れ果てた荒野を5週間さまよい続ける絶望的西部劇。
アンビエント・ミュージックのようなLess is Moreの美しい浮遊感を漂わせながら、人間の本性にえぐりこむ人間ドラマを重奏的に描いているのがとても巧い。

人種、宗教、性別、年齢、権威、文化、それぞれのアイデンティティが極限状態で交錯し、生きるか死ぬかの意思決定を迫られる。キリスト教的価値観がもたらす偏見と博愛の精神が拮抗する緊迫感は非常に見応えがあった。

こうした「歩く」映画は丁寧に作ると独特のリズムが生まれておもしろい。ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」をいつも思い出す。
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