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パーマネント・バケーションのRのレビュー・感想・評価

3.5
来年から社会人らしく結ファで申し上げると、あんまりハマらなかった。
やはりジャームッシュの回す画そのものは申し分なく。なんというか、自分でもバツが悪いと思っている。
というのは、ジャームッシュ映画の禁忌でもある“つまらない”という感情を終始抱いてしまったから。これを思ったら最後。

と投げやりなレビューだけ書いても仕方がない。原因を推察する。

オフビート映画の醍醐味はおそらく、
①共感
②何が起こりそうで起こらない日常
を魅せられていることにあると思う。ジャームッシュの場合は、このふたつに相まって画角や間の取り方があったりすると思われる。

本作では、このふたつが決定的に損なわれていると感じた。

①共感:
誰かと対話するシーンで、登場人物が自分語りしていたり、何かについてディスカッションしていたり。さらっと繰り広げられる会話の中で、言われてみればたしかになあ、という気づきが毎度ある。’coffee & cigarettes’ なんかは特にそうだった。
本作はアリーの壁打ちばかりで、その意図が汲み取りきれなかった。私もまだまだだなって。

②何かが起こりそうで怒らない日常
同監督の他作 ‘stranger than paradise’ では、会話の垂れ流しだけど、登場人物が旅路についているというのもあって、ひとイベントくらいあってもいいかな〜のような、淡い期待をじわじわ感じながら観ることができる。
本作は、まずレイラ(だよね?)が冷たい冷たい!右から左へ受け流してしまってるよ!ちゃんと興味なさそうでもはや切ないまである!
道中で出会う人も、普通に生活してたら“やばそうだから近寄らんどこ…”みたいなのがあったりして、アリーの無鉄砲さが心配になるくらい。階段に佇む歌うたい発狂マダム、近所におったら絶対怖いやつ。

というわけで、“だから何?”という展開が続いてしまうように感じてしまった。流れている映像がお洒落〜という事実だけでは、映画は面白くない。よく出来た文化だ。
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