悪魔の毒々クチビル

バッドランド・ハンターズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)
4.2
「気持ち悪いツラだな」

大地震により崩壊した世界で、元ボクサーが家族同然の少女を救うため戦うお話。


マ・ドンソク主演のネトフリ映画です。
配信されるのを知ってから楽しみにしていたし、既に観賞された方も多いのでは。
実際、ここ最近観たネトフリ映画の殆どは特にここに投稿する気にもなれないくらい微妙な作品が多かったのですが、これは良かったです。配信作とは言え紛うことなきマブリー映画でした。
監督はマブリー主演シリーズ「犯罪都市4」も務めるホ・ミョンヘン。

舞台が治安の悪い街だろうが崩壊した世界だろうが、マブリーは基本いつものマブリーでワニの頭をぶった切る登場シーンから平常運転。
これだけ食糧も枯渇した世界でどうやってあの体型を維持してるのか疑問でしたが、多分ああやってワニとか大型の動物を今までも大量にハントして来たんだろうと自分に納得させました。

今回はこう言った世界観ではお馴染みのヒャッハー集団や、遺伝子操作された軍人までも襲って来るので素手だけでなく鉈や銃火器も駆使して戦うのでバリエーションが多くて見応えがありました。
何気にヘッドショットを決めまくるマブリーって新鮮でしたし。
俺はマブリー作品全部はチェックしていないけど、今まで観た彼の作品の中では一番アクションの手数が多かったのでここは非常に満足しています。
背中に掛けた鉈を取ろうとするも全然手が届かないマブリーが可愛い。

台詞回しなんかも「犯罪都市」期のマブリーっぽさがあって面白かったし、敵を尋問していく場面で「お前は知ってる?知らないか。はいおやすみ」と順々に殴り倒していくシーンが最高に笑えました。
仲間のピンチに駆け付けて「おい兵隊、何でエレベーターがないんだ」と開口一番敵に文句を言う所も良いねぇ。
後半の敵は遺伝子操作された軍人メインで、頭が弱点なのに加え一部の敵は最近多い「新感染」タイプのゾンビっぽいですが、爬虫類の遺伝子やらを組み込まれているし正気を保っている者が殆どなので厳密に言えばまた違うモノだと思います。
意外とマブリーと殴り合える敵が居たの良かったですね。

マブリー演じるナムサンと一緒に行動している青年ジウンも良いキャラしてたし、ナムサンに助けを求める軍人イ・ウノも脚技をメインとした格闘が格好良かったです。
アクションシーン自体も多めで気合い入っていて、カメラワークやカット割も上手く駆使してよりダイナミックに見せる良い誤魔化し方でした。

一方でナムサンの娘を亡くした過去とかジウンとの関係性とか、普通だったら語られそうな部分が特に掘り下げられずに省略出来る所はポンポン削除していった感じはあるので、テンポは良いけどちょっと足りない部分もありました。
そもそもあの助かった子ども達は明らかにヤバいの埋め込まれているけど、そのままで大丈夫なんだろうか。
とまぁ、雑と言えば雑な内容ではありました。
元凶の博士は一応娘への愛情が故の…みたいな感情移入出来る隙間はあるんだけど、キモさが勝って全然同情出来ないのは逆に良かったです。

あと終始CGや合成の出来はイマイチなので、そこが気になりそうな人はまずASYLUM映画10本くらい観てからこっちを観た方が良いかも。

凄く良かったのは間違いないんだけど、あくまでマブリーありきと言うか、マブリーだからこそあそこまでパンチで人が吹っ飛んだりあっさり首切り落とせたりも納得出来るんですよね。
マブリーってバイオレンスなアクションは勿論、意外とコメディ映画とかにも出ておかっぱ頭になったりと強面と可愛らしさの両面を併せ持った数少ない俳優だと思うのよ。
特にこれだけ二の腕お化けなガタイの人で、この強みは貴重かなと。
なので主演が違う人だったら大分評価は変わっていたかと思います。