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ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

映画館で。

2024年のアメリカの作品。

監督は「クリスマスとよばれた男の子」のギル・キーナン。

あらすじ

真夏のニューヨーク。街角の骨董品屋に持ち込まれた謎の骨董品をゴースト研究所の調査チームと協力して、その正体が全てを一瞬で凍らせる史上最強のゴースト「ガラッカ」を封印した「ゴーストオーブ」だということを突き止めた「ゴーストバスターズ」だったが、手下のゴーストたちによって、ガラッカが封印から解き放たれてしまう。

前作にあたり、「ゴーストバスターズ」シリーズのリブート作品である「アフターライフ」を観てかなり面白かったので続編である今作も楽しみに鑑賞してきました。

結論から言うと…うーん、悪くはないけど、なんつーか、もったいねぇなっ!って感じでした笑。

お話はあらすじの通り、前作の結末から2年後が舞台、しかも前作がオクラホマの片田舎だったのに対して、今回は聖地ニューヨークに舞台を移しているということで作品としてのトーンも都会派というかオリジナルの色合いが強い感じ。

その上で、前作ではまだ家族という間柄じゃなかったポール・ラッド(「ミュータント天タートルズ ミュータント・パニック!」)演じる元科学教師のゲイリーが主人公フィービー(マッケンナ・グレイス「クレーターをさがして」)のお母さんキャリー(キャリー・クーン「ボストン・キラー 消えた絞殺魔」)と付き合ってる状態でほぼほぼ義父になってたりと時間の流れを感じさせる。

その中でやはり目につくのが主人公フィービーを演じたマッケンナ・グレイスちゃんの成長具合よ!前作では13歳でまだあどけなさが残る感じだったけど、2年後となった今作では15歳になり、見た目のキュートなモジャモジャ黒髪ともしグッズ売り場で実際に売ってたらマストバイなダサオシャレなメガネはそのままにやや凛々しさを増した顔立ちがやっぱ改めて見てもものすごく美人さんだよなぁ。

その上で今作では本格的にバスターズ稼業に従事してるんだけど、給料ももらっていない未成年の身の上上、教育的にも良くないと判断され、一時的にバスターズを外されてしまうという「やりたいことができない」というティーンなりのジレンマに悩まされるという内面性も描かれ、そこも新鮮だった。

あぁ、あとそんなフィービーの兄貴の「ストレンジャー・シングス」でお馴染み、フィン・ウルフハード(「僕らの世界が交わるまで」)演じるトレヴァーも相変わらずの超絶イケメンっぷりはあるんだけど、今作ではどちらかというとコメディリリーフとしてドタバタしてる感じなので前作と比べるとやや影が薄いかも。

後はフィービーの良き相棒で親友のポッドキャスト(ローガン・キム)がオリジナル版バスターズのレイ(ダン・エイクロイド「BELUSHI ベルーシ」)の元で、トレヴァーといい感じだったラッキー(セレステ・オコナー「マダム・ウェブ」)がゴースト研究所でそれぞれインターンとして今作でも続投して働きつつ、それぞれイケメン、エキセントリックガールとして成長していて嬉しいところ。

そんな感じで新バスターズの面々も成長している感じなんだけど、肝心のゴーストたちもパワーアップして多種多様な奴らが次々出てくる。お馴染みのミニマシュマロマンや大食漢のスライマーをはじめ、冒頭から出てくる深海魚に似た下水龍だったり、マスコット的なゲロ吐きモンスター、ビューキー、見た目だけなら邪悪さ溢れるフォスファー、そして個人的には1番お気に入りのポルターガイスト的に道具に次々と取り憑く赤いすばしっこいポゼッサーなどなど、言うなれば「学校の怪談」的に「次はどんなゴーストが出るんだろう!」というワクワク感溢れるユニークなゴーストたちが満載!!

その上でなんと言っても特筆すべきは過去最高に最強の力を誇る「デス・チル」改めてガラッカ!!

見た目もアメリカの都市伝説モンスター「トールマン」に似ためちゃくちゃ背の高いひょろ長具合とサタン的などでかい角を生やしたヴォルデモートみたいなまさしくラスボスに相応しい邪悪さ極まりない感じなんだけど、この手のラスボスにしては珍しい「氷属性」としてニューヨーク全体を「フローズン・サマー」のタイトルよろしく、瞬く間に氷の世界に変えてしまう強大な能力が凄まじい。また、このシリーズにしては珍しく人死もバンバン出して冷酷に殺そうとしてくる感じも恐ろしかった。マジでそういう意味でも過去最強クラスと言える。

あと、このシリーズとしては多分初?となる人間型ゴーストであり、キーパーソンのメロディ(エミリー・アリン・リンド「君は僕のもの」)。亡くなった年齢もフィービーの一個上の16歳ということで、歳の近いフィービーと友情?恋愛にも似た関係(ポッドキャストとそういう関係にならないことを踏まえると作り手的にはそっち寄りなのかな?)を築きつつ、後半にかけてミステリアスな魅力を放つ感じが今までになくて新鮮だった。

また、これは予告でも出ちゃってるのでわかってると思うんだけど、レイやウィンストン(アーニー・ハドソン「チャンピオンズ」)、ジャニーン(アニー・ポッツ「ボー・ピープはどこに?」)、そしてベンクマン(ビル・マーレイ「アントマン クアントマニア」)とオリジナルのバスターズも再登場!!加えてもう1人のキーパーソンの新キャラ、クメイル・ナンジアニ(「FLY!/フライ!」)演じるナディームまで登場とかなり大所帯な面々がゴースト退治に絡んでくる!!

だからということもあり…ここからは不満点に入るんだけど、ただでさえ人間もゴーストも多く出てくることで人間模様や描写を描こうとするあまり、大渋滞を引き起こしてしまってる…。

本筋としてはバスターズ対最強ゴースト、ガラッカの戦いを描きたいのにそこに至る流れの中で、フィービーとゲイリーの微妙な関係性、バスターズを外されたフィービーとメロディの友情描写、OB勢のあり様、新キャラ、ナディームの秘密などなどを描かなければならず、俺たちが1番見たいバスターズ描写が中盤では全然描かれない!!

だから、予告であったニューヨークのサマービーチが一瞬にして凍りつく描写も思った以上には描かれずに「え?こんだけ?」って感じだし、その強大さはいくらでも描きようもあったガラッカとの戦いも割と呆気なく終わるばかりか、「え?そういう感じで決着つくの?」という感じなのでめちゃくちゃ物足りない!!

つーか、せっかく前作以上にバラエティ豊かなゴーストたちが出てくるのに、終盤にかけてはほとんどその描写もチラ見せぐらいで全然戦ったりしないのはどうなんだ?せっかくOBも出てくるんだから、そことマッチアップさせるとかいくらでも出来ただろうに…。

そういう意味ではOB勢も、特にベンクマンはとりあえず出しました感が半端なくて、ガラッカとの終盤の戦いで新メンバーとの揃い踏みで大所帯で対峙するシーンなんかは「ジュラシック・ワールド」最終作におけるオリジナルメンバーの残念な出し方に似たゴチャゴチャ感を感じた。

もうこの手の「オリジナルメンバーの友情出演」は個人的にはやや食傷気味というのもあり、前作「アフターライフ」の出し方もやや危うい感じの絶妙なアガる出し方だったこともあり、これだったら全員出すなら前作だけの出し方の方で潔く退場させた方が画面もゴチャゴチャせずにありがたみもあるし、よかったのでは…と個人的に思っちゃったなぁ。まぁキャスト陣もちゃんと出てくれてる分、このシリーズに愛着を感じてなのかもしれないけど…。

あと、どうせ全員出すならエンドロールに謎にマシュマロマン出すくらいなら、クリヘムは無理でも2016年版の「ゴーストバスターズ」の女性キャラたちも遂に登場するくらいのサプライズは欲しかったかなぁ。

まぁ、そんな大渋滞もガラッカの最終決戦パートではなんだかんだ全部ゴリ押しで回収できちゃったのはすごいと思うし、なんだかんだ最後にお馴染みの「ゴーストバスターズ!」のテーマ曲が流れて思わずテンションが上がって万事オッケーとなっちゃうのは我ながらチョロいなぁと思いつつ、やはり映画作品において、それと直結する有名すぎるテーマ曲がある作品は強いなぁ…と改めて感じた作品でもあった。

という感じでなんというか全体的に「予告詐欺」臭が半端ない出来に終わっちゃったけど、このシリーズは好きだし、これで終わっちゃうのも中途半端なので、続編は希望したい。あと、どうせなら夏に観たかった!現場からは以上です!!
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