しょう

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のしょうのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

公開初日、そして昨日と2回見てきた。
長らく『名探偵コナン』、並びに『まじっく快斗』を追ってきた人ほど楽しめる作品になっていると思う。

まず、冒頭。
津田健次郎さん演じる土方がシンプルにカッコいい。切り合いで屏風に刀が刺さり、できた穴を覗き見ての現代への移行は流れがとてもきれいだと感じた。

序盤から、平次とキッドがバチバチにやり合う。
そもそも平次の逆恨みなのは満場一致として、今回の平次は頭がしっかりキレており、キッドの企みに勘付いている。
こっちも「何やってんだ」と言いたくなるバイクでのステンドグラスぶちぬきの末、屋根の上でキッドを追い詰める平次。
刀一閃。モノクルが宙に舞い、月下にキットの素顔がさらされる。その顔を見た平次は戸惑いを隠せない。

「顔も声も工藤とそっくりや。」

こんな序盤で、そんないきなり核心に触れ始めるのか…!とこちらもドキドキが止まらなくなった。
そこからのオープニングは震えた。

次の盛り上がりは、カドクラから刀を奪ったキットが車両基地で何者かに襲われるシーンだろうか。
颯爽と現れる平次とコナン。3人の共闘が突然訪れる。
その後仲良さそうに話してはいるけれど、探偵と怪盗という立場をお互い信頼したかのような話ぶり。馴れ合いと言えばそうだが、ちょうど良いくらいの感じがした。

その後、六振りの刀から「星稜刀」の存在に行きつき、五稜郭でのカドクラとの対峙へと移る。
刀の謎&謎解きががっつりあったのはコナンをミステリー作品として見ている自分としては嬉しかった。

謎は解いたが、爆弾は解除しないカドクラ。そこに乱入する沖田と鬼丸。
『YAIBA』では鬼丸役をしている堀川りょうさんが、平次(cv 堀川りょう)として鬼丸のことを「誰やアイツ」と言っているのはおもしろかった。

さて、宝の謎は解けたが、まだ弁護士殺人事件の謎は解けていない。
宝のもとに向かうカドクラ。ロープウェイのロープをスケボーで伝って、先回りするコナン。この辺りにツッコミ始めると先に進めないのがコナン作品。コナンは当然これくらいのことはできます。

カドクラにやられるフリをして福城良衛に太刀筋を露わにさせるコナン、カッコいい。
「あんたは車も乗れるしね」と謎に決めゼリフ感出すコナン、よくわからん。セスナはまだしも車に乗れる人は山ほどおるやろ。誰か解説求む。

その後、宝を目の前にする、良衛とキッドとコナン。結果論的には、何をやっていたのかと本人すらも思うところだが、これがもしも現代でも脅威になる兵器だったら…、と思うと、やってきたことに意味はあったのかもしれない(殺人はダメだけど)。

この映画がスゴイのは、ここからさらに二段階は盛り上がるところ。

まずは平次の告白。
これまでのエピソード、そしてこの作品でも序盤からほぼほぼ想いを隠せていない平次。その平次がついに意を決した告白をする。
「動機」をキーにして、最後は
「かっこわるいけど、そのくらい好きでたまらんのや。和葉、お前のことが。」って言い切るのマジでカッコよすぎた。
そこに流れる『相思相愛』。エンドロール中ずっとドキドキしっぱなしだった。
まあ、オチは予想通りスタングレネードのせいで聞こえてなかったんですけれども。
本編との関係で告白成功できないとはいえ、平次がさすがにかわいそう(泣)

いつもなら、平次の叫びから画面を引いて、場合によってはコナンの一言入れてちゃんちゃんと終わるところだが、今回はまだ終わらない。

優作と有希子の会話が始まった瞬間、「ついに…!」と思い、身を構える。

明かされる真実たち。
盗一が双子の兄、優作が双子の弟であること。
盗一はやはり生きていたこと。
そして、その盗一が川添としてコナンたちとずっと一緒にいたこと。
特に2つ目は、コルボーのお話で99%くらいそうかなと考えられていたけれど、青山先生が以前に「盗一は生きている」的な発言があったらしいけれど、作品内で姿を伴った明確な公式確定情報として出るのはアツい。
99%と100%はやはり違うのだ。

平次とキッド(というか快斗)の魅力が存分に発揮された本作品。コナンも要所要所で輝いているし、いろんなところで配慮が行き届いた蘭、ヒロイン全開の和葉、刑事としての職務を全うする中森警部、時間は短いながら可愛さとしなやかさが印象的な青子、数多の女性を沼らせたらしい聖さんなど、いろんなキャラクターがバランスよく魅力を発揮していた。
そして、MVPは大泉洋さんだろう。オファーを受けた段階では重要な部分は知らされておらず、「またしても何も知らない大泉洋」だったら嬉しいところだ。

途中、作画崩壊が一部気になったところはあったが、本筋には影響少ないところだったし、ギャグよりのシーンで意図的にやっている可能性もあるのでよしとしよう。

コナン本編からしても、重要な位置づけになったであろうこの作品。
『異次元のスナイパー』以来、10年ぶり2度目の、池田秀一にラストを持っていかれた作品として心に刻みたい。
しょう

しょう