つう

トラペジウムのつうのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
1.0
『観客をナメるんじゃねえよ!包装紙だけ金ピカで中身がスカスカだったら観客は気づくぞ!』

元乃木坂46の高山一実が原作小説を書いて、それを劇場版アニメ化したという作品。

自分は今の今までアイドルにハマるということなく生きている人間です。

乃木坂も白石麻衣、西野七瀬、そして今回の高山一実は名前は聞いたことある…かも?ぐらいの認知しかない完全門外漢のレビューになります。

昨年、個人的に低評価になった「スパイファミリー」「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」を製作しているCloverWorksの作品(あれ?もしかして俺はCloverWorks作品と相性が悪いのか?)

上記のCloverWorks2作品は明確にこういう部分がダメというのを言葉にしました。

今回のトラペジウムは酷いというよりも、それ以前の問題。只の素材でしかない。

こういうアイドルをテーマに書こうと思ってるんです!っていう企画書をスポンサーに見せるためのプレゼン用のパイロット版のビデオコンテをそのまま上映しましたって感じ。そういうパイロット版としてはハイクオリティかもしれないw

この作品がどこまで原作に準拠しているのかは分かりませんが原作準拠だと仮定として話を進めます。

もし、俺がこの原作小説の担当編集なら以下のように、まず最初に言います。

「この持ち込み企画自体は悪くないので、これから面白くなるように肉付けしてきましょう。」

まず、なんで主人公がアイドルに惹かれ目指そうとなった憧れの存在。目指す指標となるキャラ。アイドルの見本を作りましょう。それが乃木坂とかであってもいいです。

えっ?アイドルは光って見える人間がアイドル?

それを具体的にどう魅せるか描写するかを考えないと、その言葉だけではアイデア止まりですよ。

そして、その目指すアイドルのようになりたい動機付けを主人公にキチンと付けましょう。

そこはベタに親が片親で家で独りきりの時に元気づけられたのがアイドルだったでもいいです。そういう分かりやすくてもいいので付けましょう。ないよりは圧倒的にいいので。

主人公が他のキャラにもアイドルとしての姿を求めるなら主人公がアイドルという存在にストイックになるっているのを裏付けるバックボーンがないと駄目です。朝は6時に起きてアイドルとして活動するには体が資本だからジョギングを欠かさないとか。SNSの流出とかが怖いから異性とのツーショットは絶対に撮らないとか。食いしん坊だけど体型維持のために友達とスイーツ食べに行くのを断っちゃうとか。アイドルになるために意識高く犠牲を払って、ここまでやってますというのが溢れ出てないと自分の計画通りにいかないのにイチイチ、キレていたら、それは玩具を買ってもらえない只のワガママな子供みたいな主人公になってしまいますから。ましてやアイドルになりたいと思っていない3人にそれを強要するのはそれなりの説得力がないと。

ここにある。このあと私たちは人気者になっていった。これはプロットです。この部分をエピソードにして語らないと物語にはなりません。結果をセリフ、モノローグだけで終わらせてしまう部分がいくらなんでも多すぎます。

例えるならプロ野球の試合を見に来ているのに観客席に座ったら場内アナウンスで1回、佐々木朗希は立ち上がり三者三振でスタート。4回には大谷翔平が3ランホームランを打ちました。そのあと互いに点が入らず膠着状態となり、試合は3-0でゲームセットになりましたとアナウンスが流れて観客を帰してるのと一緒です。

どんな球で三振を取ったのか?ホームランを打った時の大谷と佐々木朗希の駆け引きは?点が入らなかった間にも好守に阻まれたのか?投手に圧倒されたのか?観客が固唾を呑んで見ていたのか?どこに熱狂したのか?などの部分を描きましょう。

このままでは素材でしかないです。

あとゲスト声優で原作者の高山一実と西野七瀬が参加してますがコレに関しては観客をナメるな!!バライティ番組のフリートークのエピソードトークで女性アイドルがおじいさんが喋るみたいなのをそのままやっていて、これはナメすぎでしょ。20代の本職の声優でもないアイドルが同性のおばあさん演じるわけでもなく異性のおじいさんを演じる。遊び心か何かのつもりかもしれないけど、製作陣あんたたち最低、最悪だよ!

アフレコシーンを公式でアップしてて、それがより最悪だったのでさらに点を下げました。

この映画で唯一、感情が揺れ動いたのは乃木坂の2人が演じて喋ってるシーンだったのは何とも皮肉ですねw

一応、フォローしておくと。俺の右隣の男子大学生と左隣に座った50代くらいのおじさんは飲んでるドリンクと同じ量くらいは涙を流してたので乃木坂ファンや原作者ファンにも刺さるポイントがあるんだと思います。タイトルと同じくらいのデカさで原作者のクレジットが出るのでファンの人が楽しんでいるなら良いと思います。
つう

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