あるショットを眺めているうちにいつの間にか目を閉じていて、意識が半分遠のいた状態で瞼を開くとまだ同じショットの中にいるときの気持ちよさ、筆舌に尽くしがたい 簡易版サタンタンゴの向きもありつつ、世界一巨大な鯨の標本が世界(海から遠く離れた田舎町)に滅びを運んでくるというモチーフがぐっと心を掴みよかった 夜の街を鯨を載せたトタンでできた巨大トラックがゆっくりと進み、その影が家々に落ちながら移動していくショットと、少し異様なくらい鯨に魅了された主人公が真っ暗なトラック(兼見世物小屋)の中をゆっくり歩き、鯨の肌が少ない光を鈍色に反射するショット(何も映さないその瞳の、虚ろで雄弁なことといったら) が特に印象的
病院での暴動や広場の焚き火、白い息の言葉にならない恐ろしさ なにか大切な栓が明らかに抜けてしまったような途方もない感覚 それなのにそれは何故か全裸で立ち尽くすガリガリの老人によって堰き止められる その説明のつかなさ(と妙な説得力)も初めて見る手品みたいだった ヘリは急にヒッチコックみたいで意外だった
ノイズがもっとあってほしかったかも、ダムネーションはずっとノイズが不快で官能的だった こっちのコンディションの問題かもしれないけど
