Punisher田中

ストップ・メイキング・センス 4KレストアのPunisher田中のレビュー・感想・評価

4.8
Fan'sVoice様よりご招待いただき最速試写会にて鑑賞しました。
ご招待いただきありがとうございました!

A24公式より突如として今作が4Kレストアされるという報せを発表した時は衝撃的だった。
デヴィッド・バーンが古びたクリーニング店で""あのビッグスーツ""を受け取り、鏡越しに自室でビッグスーツを身に纏うと題字が鏡面に浮かび上がる....あれから1年、遂に今作をこの目で収めることが出来た。
1984年版を鑑賞した衝撃に負けず劣らず、心身へ響き渡る音と歌声のパンチの鋭さ。
当時世界を席巻していた彼らのパフォーマンスはやはりただもんじゃないことを五感が再認識しつつ、全く新しいものとして身体に入ってきた。
1984年版と同じ楽曲で同じセトリ、だけども全く違う。
音の響きも繊細さも彼らの感情ひとつひとつがこもっている様なジェットコースターのような抑揚には油断していると身体が勝手に踊り出しそうな魅力と多幸感があった。
ステージも演出もダンスも自由自在縦横無尽四方八方に勝手しまくるデヴィッドバーンと彼のアクションに対して他メンバーがチューニングしていくといった、一見シンプルながらもかなり複雑な演奏が奔放さと時に緊張を与える。

4Kレストアだから綺麗すぎて当時のフィルムならではの味わい深さがなくなる、のではなく細かく深く没入できる様にアップデートされた執念を感じるフィルム修復。
4Kレストアの偉大さをここまで感じることができたのは今作が1番かもしれない。
フィルム特有の味わい深さはそのままに、肌の質感や色合いが当時の撮影技術ではなかなか精彩に出力できなかったディテールの深い部分がしっかりと浮き彫りになる。
画質と比例する様に音のチューニングも地に足ついたチューニングで低音は響き、高音の細かい音までどの音域もカバーし切っているからこその立体感を持っていた。
大手商業作品をIMAXで観るのも良いが、今は今だけはいつIMAXで再上映するかわからない今作をIMAXで観るべきだろう。
全身を劈く衝撃をその身で体感できるだろうから。