色を削ぎ落として現れたゴジラの本質
まったく同じ作品なのにまったく印象が異なる作品。
オリジナルを鑑賞した時は少し浪花節な台詞まわしが鼻についた。
しかし色を削ったことで脚本は溶け合い、見事に物語として昇華された。
カラーのゴジラは巨大な野獣だったが、モノクロのゴジラは荒ぶる神に見える。
大質量の背びれがのたうち、軋みながら接近してくる様子は本当に恐ろしく神々しい。
ゴジラCGパートのメタリッククロームな質感と、実写人間パートの柔らかい光と影のコントラストが伝えるもの。それは圧倒的な質量で立ちはだかる現実と、それに石礫を投げる無力な人間の対比。
襖から漏れる春の光の柔らかさと儚さ。
繊細なグラデーションで神々しいまでに美しいがそれゆえ背筋が寒くなるきのこ雲。
色を失う事で顕になったゴジラの本質
