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宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-のkigumaのレビュー・感想・評価

4.0
-より現実に近い世界-

時間断層の消滅により、戦時体制から戦後体制に移行した世界。

もっとも貴重なリソースである時間のアドバンテージを失った地球は、軍縮、予算制約のある現実に近い世界観となっている。

ガトランティス戦役は、価値観がまったく相容れない相手との絶滅戦争だったが、今回は文化的共通性が非常に高いヒューマノイド間の政治的駆け引き。スタートレック的な世界。

前章を見る限りでは、2202のようなピーキーな革新性はなかったけど、地に足のついた骨太な構成だと思った。

- 国際政治の理想と現実
- イデオロギーの表と裏
- 背負った業

リメイク版のヤマトでは、古代進というキャラクターの変化がとても丹念に描かれている。

理想を追い、現実に絶望し、そして自分では抱えきれない業を背負う事に。

波動砲を核兵器に例え、時間断層を経済成長の幻影として例えた事で、旧作の捕らえどころのないのっぺらぼうから、深みのある人物像に磨き上げている。

もう少し尺に余裕があれば、ガミラス内の意見の衝突、ヒスの政治家としての苦悩も描けただろうけど。
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