Kachi

ゴジラ-1.0/CのKachiのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)
4.5
※スコアはカラー版と同じ。
ちょうどFilmarks 555本目のクリップのため急遽予定変更。

他の映画を優先してしまったため、マイナスカラー版の方を劇場では観られずPrime Vidéoにて。モノクロ版だと細部が判別できない分、注目する対象を限定しやすく、映画館でなくとも集中力を保って観られた。

ストーリー展開は、一度しか観ていないにも関わらず鮮明に覚えていたのは、本作がそれだけドラマとしでも見応えがあったからであろう。お馴染みのゴジラのサントラに加えて、-1.0用に作られた音楽も前後焼け野原となった日本へ危機到来という重々しい雰囲気を出せていた。

改めてここの描写に目を向けると…
・ゴジラの光線後にできるキノコ雲
・同じく光線後の黒い雨
・終盤の典子の首筋に見える放射線と思われる跡
が、印象的に描写されており、奇しくも「オッペンハイマー」と対をなす作品が同年に公開されたことは象徴的である。

どちらの作品も、広島・長崎の原爆投下の爆心地を映像化してはいないが、映さないことでむしろ被害の甚大さを物語る想像力は喚起させられる。

映画はフィクションであるが、フィクションによって私たちは日常では経験できないことを追体験できる。追体験をしたことで何を学ぶか?実体験からしか学べないとしたら、それは知性の敗北であり、人間が結局餓鬼畜生と変わらないことを認めてしまっていることにもなりかねない。

日本の映画「オッペンハイマー」を巡る議論に広島・長崎の描写の不在があるが、私はこういう感想が出てしまう時点で、知性の敗北を認めてしまっているのではないだろうか?と思ってしまった。
Kachi

Kachi