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プラットホームのzhenli13のレビュー・感想・評価

プラットホーム(2000年製作の映画)
4.0
1979年から始まり、しかし年代の変遷がはっきりと示されるわけではなく、人民服に近いもっさりした服装や髪型で毛沢東翼賛の公演をしていた「文化劇団」が解散し、「ラッパズボン」を穿いたりパーマをあてたり、劉少奇や鄧小平の名がラジオから流れ、村に電気が通って「共産党に感謝しよう」とアナウンスが流れても誰も聞いてないふうで、サッチャーの名が人々の口にのぼり、妙な性教育アニメーション映画が上映されてて、いつの間にか車がたくさん往来し女性もワンピースやタイトなズボン姿になっている、そういう微妙な変化が時代の流れを見せるがまさか天安門事件も終わってる1991年までの話とはわからなかった。

『旅芸人の記録』と比較されてるが、『プラットホーム』はアンゲロプロスの長回しロングショットにおける途方もない魔法のような体験とは違うしそれほど長回しでもないんだけど、はっとするようなショットが何度も出てくる。草木もない山を臨むがれきの平野みたいなところの水辺で、右端のほうでだんだん火が燃え上がるショットなど。
そして『旅芸人』と同じく音楽映画でもある。テレサ・テンが流れ、いいかげんな歌詞でジンギスカンを歌い踊る若者たち。「ロックンロール・エレキバンド」の超ダサパフォーマンスが最高(アピチャッポンのエアロビおばさんに匹敵)そして本作から20年以上にわたってジャ・ジャンクー作品のミューズとなるチャオ・タオがやはりここでも流行歌に合わせて優雅に踊る。

いままで観たジャンクー作品は『世界』『罪の手ざわり』『山河ノスタルジア』くらいでなんとなく文法が馴染まない感じがあったのだけど、この『プラットホーム』が一番馴染んだかもしれない。
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