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オーメン:ザ・ファーストのmaroのネタバレレビュー・内容・結末

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2024年日本公開映画で面白かった順位:30/38
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

『オーメン』シリーズ第6作目にして、1作目の前日譚。
なんで今までこれを作らなかったのか謎なぐらい、長年のモヤモヤが晴れるような内容だった。
悪魔の子ダミアン誕生の秘話に迫るので、これから赤ちゃんを産む予定がある人には少々ショッキングかもしれない。

この映画を鑑賞するにあたって過去作を全部観たのだけど、シリーズを通してわからなかったのが、「ダミアンって結局なんなの?」ってこと。
6月6日午前6時に生まれた悪魔の子で、彼を取り巻くまわりの人間が次々に怪死していくんだけど、ダミアンの正体も目的もずっとわからなかった。
それがこの映画でようやく判明したのだ。
以下、ネタバレをご容赦。

この映画、すべての元凶を教会にしたことで、一気に理解が深まった。
もともと教会は信仰によって人々を支配し、絶大な影響力を持っていたのだけど、時代の移り変わりと共に人々の信仰心が薄れ、教会の権威が失われつつあった。
それを取り戻すために、新たな"悪"を生み出し、再び人々に信仰心を持たせようとしていたのだ。
過去作では、ダミアンは山犬(ジャッカル)の子供とされていた。
それは、キリスト教では山犬が邪悪な存在とされていたから。
でも、「犬がどうやって人間の子供を生むのか」っていう疑問がずっとあった。
今作では、生贄とされた女性たちと山犬を強制的に交わらせ、子供を宿していたようなのだ。
遺伝子的に異なる生物の配合は種を残せないはずなんだけど、まあそこは映画なので(笑)
ただ、ここはもう人体実験に近く、生まれてくる子供は身体的欠損や疾患があり、生まれてもすぐに亡くなることが多かった。
ここらへんは写真でしか出てこないけれど、人としての形から逸脱した赤ちゃんの姿が多数出てくるので、けっこうエグい。。。

そんな中、ようやく健康体として生まれた赤ちゃんがいて、それが後にダミアンの母親となる。
物語の終盤ではついにダミアンが誕生するシーンが描かれるのだけど、それまでずっとぺったんこだったお腹が急に膨れ上がって出産しちゃうというファンタジーな設定はちょっとおかしかった(笑)

また、ここでもけっこうえげつない描写がある。
生まれた子供は男の子と女の子の双子なんだけど、教会が求めていたのは男の子。
女の子および母親にはもう用はないから、男の子を抱き上げると、しばらく女の子と母親は放置されてるのよ。
泣き叫ぶ赤ちゃんを放置するところは、子供を持つ身としては心が痛むところ。
で、最終的にはその2人は抹殺命令が出て、あたりに火を放たれてしまう(ま、間一髪で助かるんだけど、続編があるとしたら伏線にはできそう)。

待望の男の子の行く末は、1作目の『オーメン』(1976)へと繋がっていく。
駐英大使という国に対して影響力を持つ家庭に養子に出され、そこで育ててもらうのだ。
写真のみの出演だったけど、当時その大使を演じたグレゴリー・ペックが映ったときはちょっと感慨深い気持ちになった。

そんなわけで、長年の謎を解く設定が与えられてようやくスッキリできる映画だった。
ジャンプスケアもちょいちょいあって、鑑賞中に何回かビクッってなるぐらいには、個人的には怖かったし(笑)
赤ちゃんにまつわるエグいシーンもあるので、出産予定のある人は要注意。
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