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オーメン:ザ・ファーストのtetsu3のレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.0
時は1980年代半ば頃。中坊だった僕らは、ホラー映画にはまり、友達の家に集ってホラー映画鑑賞会なるものを開催していました。
当時は珍しかったレンタルビデオ店から、VHS(ベータだったかも…。)を借りてきて、みんなでお菓子を食べながら、ホラーシーンで、わー、きやー、言って楽しんでました。
文化祭の学級テーマに、僕が"ホラー映画上映と展示"を提案し、ホラーというジャンルは却下されたものの、"映画・映像と技術"というテーマで実施することになり、ホラー映画上映も展示のひとつとして実現できました。(担任がいきなり牛の目玉を持ってきたり、結構な盛況となった良い思い出。)

さて。ホラー映画です。
その鑑賞会では、「死霊のはらわた」「死霊のえじき」といった傑作や、「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」といった作品を楽しんでいました。

それらの中で「オーメン」という作品は、一際輝きを見せ、中学生の僕らを虜にしました。

まず、怖がらせ方が違う。
視覚的なホラーシーンはあるけれども、そのシーンに至るまでのところなど、何か心の奥の方をヒヤリとさせるような怖さがあり、観ている僕らは、他の作品と違い、静かに怖がっていたことを憶えています。
「Omen」が"不吉な予兆"という意味ということもその時に調べました。
当時のホラー映画が、スプラッター寄りになっていたところ、このオーメンこそが真のホラー映画だなと思いました。

このオーメン前日譚。
まさに、その心底の怖さをきっちりと纏っていました。
"彼"に繋がれる結末は分かっています。
中学生のときから何度も見てますから。
その結末(始まり)に、あのメロディーとともに見事に接続させたこと、このときの感情は"嬉しさ"でした。
ホラー映画を観て、嬉しくなったのは初めてです。(なるほど。「ローグ・ワン」ね。)

そして。もうひとつ。
この作品の評価が高い理由は、ネル・タイガー・フリーの熱演です。
なかなか一般的な作品ではないので、評価され辛いとは思いますが、清楚可憐な姿、ドレスアップ時の解放感、不安、恐怖、慟哭、覚醒、とあらゆる姿の表現力。
素晴らしいです。
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