音と砂の洪水に圧倒される。
ついに始まってしまった。
音なのか声なのか。
頭の奥底に響き続ける。
この身体を震わす揺れはなんだ。
地震か、いや、音だ。
圧倒的な音だ。
言霊が頭の中を這う。
悪夢を濾された青い液体のように。
砂蟲の荘厳。
砂が震え、砂煙を巻き上げ疾走し、砂嵐の壁を突き破る。
その姿は畏怖、畏敬。
砂ヤスリで削られたかのような、
粗い空気。その中の煌めき。
砂塵とともに預言者は姿を現す。
砂と青い目とともに、物語は続いていく。
少年は、男となり、王となり、予言者となった。
そして、大きな戦いの渦へ。
口の中が妙にざらつく。
あぁ、これは砂だ。
どこにでも入り込み、どんなものも飲み込む、
そう、砂だ。
身体が砂に蝕まれる。
D U N E p a r t 2