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劇場版 名探偵ホームズ デジタルリマスター版のnanaのレビュー・感想・評価

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ミステリーというよりも、宮崎駿作品ならではの冒険活劇としてとにかく楽しい。
とくに乗り物描写など、豊かな映像表現に満ちあふれています。
同日に映画館で『君たちはどう生きるか』の英語吹替版を鑑賞したので、80年代と最新の宮崎駿の作風を観て比べることができたのも良い機会でした。

原作では知的で冷酷、自らの手を汚すことなく人々の命を奪う者として描かれているモリアーティ教授。
でも、今作の彼はどこか憎めない。
毎回手下とともに自らが出向いてホームズと対決を試みる。
昔ながらのアニメ悪役定番の、主人公を毎話狙うものの毎話やられてしまう、でも絶対に諦めない精神とめげないガッツがあります。
ハドソン夫人の親切さ、気高さに惚れ込んでしまうピュアさ(しかし最後にはそのハドソン夫人から銃を向けられてしまうという虚しさ)。

親切でおっとりしていて料理ができて掃除が得意。
でも実はプロのレーサー並みに車も飛行機も操縦できるし銃だって撃てる。
そんなハドソン夫人は、明らかに宮崎駿が思い描く素敵な女性像なのでしょう。
彼女の存在はこのシリーズにおいてとても大きいです。

宮崎駿のほか、片渕須直、近藤喜文、山本二三らが参加しており、この豪華メンバーが本気で作ったTVアニメというだけでもなんと贅沢な作品なのか!
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