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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのnanaのレビュー・感想・評価

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『哀れなるものたち』のヒット記念か、リバイバル上映してくれたので鑑賞できました。

とある一家にひとりの男が訪れる。それにより幸せだった家庭(だいたい上流階級)が徐々に崩壊していく…という作品は過去にも多くあり、一番最初に思いつくのはやっぱり『テオレマ』だし、これは一種の復讐なのか…?という点では『淵に立つ』っぽくもあります。

罪と罰。しかしその罰は自分自身ではなく、家族が背負うことになる。
死にたくない家族(それはそうだ)がひとりずつ様々な方法でスティーブンに媚びるシーンの生々しさと痛々しさ。
四肢の麻痺、食べることをやめる、目から出血、死亡と段階を経ていく「呪い」が恐ろしいです。
あまりにも悲惨なのに、ところどころで挟まれるブラック(すぎる)ユーモアもヨルゴスの作品の好きなところ。

不気味な少年マーティンを演じたバリー・コーガンが素晴らしい。
2017年の作品なので、今よりどことなく顔が幼いところがより怖さを増している気がします。
あのスパゲッティを食べるシーンは忘れ難い(劇場特典でこのシーンのステッカー貰えた)。

『哀れなるものたち』が1月に公開されたばかりのヨルゴス・ランティモス。
年内に新作『憐れみの3章』の公開がすでに決定しており、2024年に2本も彼の新作が観られることはファンとしてもとても嬉しいです。
『憐れみの3章』は、今作の脚本を手掛けたエフティミス・フィリップと久しぶりのタッグになるとのこと。
…ということは、「この感じ」がまた帰ってくるのかもしれない。楽しみです。
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