nt708

理由なき反抗のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

理由なき反抗(1955年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

最近読んだ脚本の指南書で幾度となく引用されていたため鑑賞。正直、文章で読んだときよりもやりすぎなきらいがあり、観客として置いてきぼりをくらっているような印象を受けた。

確かに脚本としては学ぶべきことも多い。例えば、登場人物とそれぞれの両親との関係性。ジムと両親の関係においては母親の尻に敷かれた父親に幻滅するジムに目が行きがちだが、それ以上に両親がジムを子ども扱いすることのほうがジムにとっては重要だろう。一方のジュディは早くから大人になることを強いられ、両親からの愛に飢えている。そんな両親であれば一層いないほうがましと思うのもつかの間、両親に捨てられたプラトーが抱えている葛藤がそれを一瞬にして否定してくれる。

しかし、その設定を回収しきれなかったのもまた事実だ。子どもたちの言動に対して両親はどうしたら良かったのか。文字通り「理由もなく」全てが気に入らない年齢だと片付けてしまうのは簡単だが、そうしているうち起きてしまったのがあの事件だ。最後には全てが解決した感じを出してエンドロールとなっているが、どこか誤魔化しているようで納得がいかない。同じようなことがまた起こりそうな予感がするのである。

それも含めて作者の狙いだとすれば、あっぱれとしか言いようがない。真相はそれこそ作者しか知りえないのだからこれ以上御託を並べるのはやめよう。脚本を先に読んで映画を観るとまた新鮮で勉強になることも多かったので、これはこれでやる価値のあるエクササイズなような気がする。
nt708

nt708