KANA

めまいのKANAのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.8

久しぶりのヒッチコック。
これ観てるはずだけどすっかり忘れてて再鑑賞。

ヒッチコックの女優使いのセンスが冴え渡った極上サスペンス。
彼の作品の中でもかなりロマンス度が高め?
というか、危うい性的倒錯も見え隠れする。
 
高所恐怖症を巧みに取り入れた先の読めないプロットがまず面白い。
原作があるにしても、その見せ方がさすが。
ジョン(ジェームズ・スチュワート)をマデリン(キム・ノヴァク)に自然に惚れさせていく過程、
アーティスティックですらある"めまい"の視覚効果、
緑の車、緑のドレス、緑の光…と、緑色とノヴァクをリンクさせる印象効果、
敢えてラストで一気にどんでん返しするのでなく、途中で種明かししてしまってラストは観る者に主人公の反応を楽しませる構成…etc.

前半は目が行っちゃってるノヴァクの行動がミステリアスすぎて怖いし、
後半は逆にスチュワートのほうが女に取り憑かれた感じでいろんな"強要"が変態めいてて気持ち悪い。
でもこの奇妙なゾワゾワ感がよき。

ラストのラストの展開、それはあんまりだ〜!
さらに鬱になっただろうな…笑

全篇ノーブラで女の芳香ムンムンのノヴァクは存在感大で、演技する演技が見事だったし、
個人的にはジョンの女友達ミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の役どころも癒しで好き。
ゴールデンゲートブリッジ、坂道、異国情緒…一見作品に不釣り合いなサンフランシスコの地もこのミステリーを白昼夢みたいに感じさせてよかった。
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