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トアのcyphのレビュー・感想・評価

トア(1949年製作の映画)
4.5
ギトリ特集いろいろ観たけどトアと幸運を!がいちばん癖(へき)を感じられて好きだった 売れっ子劇作家兼俳優のギトリが気の強い年下の元恋人との別れ話をもとに新作舞台を書いたらその初公演に元恋人が乗りこんで上映前の観客席と幕前との間で大口論 男の独りよがりなフィクショナル・ラブストーリーに気の強い(随分歳下の)元恋人が堂々と水を差しにいく、という大枠からもうだいすき 観客たちがそのスキャンダルに大ウケしてるのも平和でいい 一方引いたら舞台の台詞ひとつひとつに金切声に近いツッコミを入れて舞台をめちゃめちゃにするのヤバ客ムーブ百連発でしかないのに、やんちゃで一途な愛嬌たっぷりのラブって思わせてくれるバランス感覚もさすが 女の癇癪に本気で頭を抱えながらも冷笑せず最終的に向き合ってくれてありがとう

舞台上に現実のギトリ宅がそっくり再現されるのも、それが映画になってるのも、現実と虚構の入れ子構造に目眩を起こさせつつも本人たちはあっけらかんと真面目に恋愛をやってるのも爽やかでいい かわいい元カノ演じる最後の妻ラナ・マルコーニは騎手のコスプレまでしてくれる 同時進行するもうひとつの浮気の恋の隠蔽までしなきゃいけなくて一体どう着地させるやら?と思っていたら手紙のすり替わりっていう奇跡と兄妹オチでなんとなくいいかんじに終わらせちゃう力技も天晴れ 平手打ちのために空けられた左頬にキッスが送られる様に♡となってたらFIN 最高かい
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