ひっきーくん

シン・ゴジラ:オルソのひっきーくんのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ:オルソ(2023年製作の映画)
5.0
現代リメイクをモノクロにするのは話題作りのための非常に浅はかで短絡的なマイナーチェンジかと思っていましたが全く違いました。

役者の表情や仕草、こまやかな背景がきちんと視覚的に届く感覚があり、これもまた情報量を絞られたからなのかなと、効果を実感!
またCGのヘリやゴジラもモノクロになったことでリアルさが増すかと思いきや、色合いが無くなったことでオモチャのようなチープさが浮き上がり、これがまた特撮のミニチュアであるような別種のリアリティを生み出していたのが印象的。個人的に好感触な表現。
フルCGの特撮という本作の立ち位置がよりはっきりと生み出されているよう

特にゴジラが都心を焼き尽くすシーンの発光がモノクロでありながら、かなり美しく表現されていて色彩調整の妙を感じました。暗影のなかくっきりと浮かび上がるゴジラと立ち上る死の匂いが色味を失うことで、かくも神秘的に映されるのかと感動しました。

ラストシーンの防護服の白が強調されていたのも『ああこれは死に装束だったのだ』と気付かされ、自分の中で解釈が広がる良い映画でした。