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殺人者のHKのレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
3.7
原題は“The Killers”
アーネスト・ヘミングウェイの短編小説が原作のノワールです。
監督はロバート・シオドマク(『らせん階段』『幻の女』)。
バート・ランカスター(当時32歳)は初主演作だけあって若く、エヴァ・ガードナー(当時23歳)もこれまた若いながらも堂々と絵に描いたようなファム・ファタールっぷり。

ドン・シーゲル監督、リー・マーヴィン主演のリメイク版『殺人者たち』の方は大好きなんですが、本作は初見。
本作もなかなかの見応えでしたが、まさかこんなに違うとは。
リメイク版は全編を通してマーヴィンら二人組の殺し屋が主人公でしたが、なんとこちらの殺し屋たちは初めと終わりにしか登場しない脇役です。

主役は元ボクサー役のランカスターですが、リメイク版には出て来なかった保険の調査員が本作ではもう一人の主役で、演じるのはエドモンド・オブライエン(当時30歳、『ワイルド・バンチ』のサイクスじいさん)。
ランカスターの役は、リメイク版ではジョン・カサベテスで元レーサーの設定でした。

原作ではどうなのかが気になってAmazonで同作が入った短編集を購入(翌日にはポストに配達されました。早っ!)。
読んでみてこれまたビックリ。
本当に短編(たった18頁)で、内容はなんと本作の冒頭約10分程度の部分のみでした。
その10分間はかなり原作に忠実ですが、残り1時間半は話をふくらませた創作。
原作というか原案、もはやヒントくらい?

ランカスターの役も元ボクサーというセリフが一言あるだけで映画のように試合のシーンなんてありません。保険屋も悪女も出て来ません。

ということで、シーゲルのリメイク版は冒頭すら違うさらに大幅なアレンジ版だったことが判明。徹底したバイオレンスのハードボイルド仕立てはシーゲル版独自のものでした。

ちなみにアンドレイ・タルコフスキーも学生時代の課題作品として同原作を映像化しているそうです。
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