本当はミュージカル版に興味があるんだが、映像化されているのはこれしかないようなのでこれを観た。
タイトルからは全く予想もつかなかった内容で、初めタイトルと内容がどう繋がるのか、かなり戸惑った。まあ、蜘蛛女は死の象徴であり、同時に、結ばれ得ぬ愛する者の象徴でもあるのかな。モリーナにとってのヴァレンティン、ヴァレンティンにとってのマルタ、のように。ミュージカルではもっと分かりやすい形で蜘蛛女を出しているらしい。
ウィリアム・ハート演じるゲイの青年モリーナが、好感が持てて、良い。心根が優しく、おっとりしていて、絶えず受ける差別に耐えながら、自分がゲイであることをどこか傷つきながら引け目に思っているモリーナ。特にヴァレンティンに恋をしてからの、可愛らしくも物悲しい姿は、そっと応援していたい気にさせられる。本役でウィリアム・ハートはアカデミー主演男優賞を取っている。